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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「不気味さもあって慎重に…」井上尚弥は“苦戦”したのか? 元世界王者・飯田覚士が分析「一度目のダウン後もタパレスの目は死んでいなかった」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/12/30 17:01
スーパーバンタム級王者のフルトンに8回TKOで完勝をおさめた井上尚弥。その強さの秘密を元世界王者の飯田覚士が徹底解剖する
迎えた4ラウンド、タパレスはより前に出てきた。
様子見を済ませたかのように井上の手数も増えていく。ワンツーから左ボディーを入れるなど上下を打ち分けてタパレスの動きを止めようとする。接近戦で左フックーをヒットさせ、連打でロープ際まで下がらせて左フック、右ストレート、左フックのコンビネーションで最初のダウンを奪った。
タパレスの動きが悪かったわけでは決してない。波に乗ろうとした相手を、井上が力ずくでねじ伏せたようなダウンでもあった。
タパレスがゆっくりと立ち上がると、すぐにラウンド終了のゴングが鳴らされる。
勝負は一気に井上側に流れるかと思われた。しかしながらタパレスの目はまだ死んでいなかった――。
<後編に続く>