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栗山英樹「大谷君には申し訳ないけど(ドラフト1位)指名を…」大谷翔平の未来を信じた“恩師と識者の声”「彼のモチベーションはカネじゃない」
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNanae Suzuki
posted2023/12/09 11:00
ア・リーグMVPに輝いた大谷翔平。その去就は日米で大きな注目を集めている
「入学当初からの夢でしたし、厳しい世界で自分を磨きたい」
高校卒業とともにアメリカに渡り、マイナー経由でメジャーリーガーへの道を歩むという進路を希望すると表明した。発表前にはドジャースやレンジャーズ、レッドソックスといった球団との面談もしており、ドラフト指名はないか……と思われていたところに手を挙げたのが、北海道日本ハムファイターズだった。
日本ハム入団を表明した“11年前の12月9日”
日本ハムは前年度のドラフトで菅野智之(現巨人)を1位で指名したものの、入団には至らなかった。果たしてドラフト会議で、単独指名での大谷の入団交渉権は獲得したものの、もしその交渉が上手くいかなければ――2年連続で“ドラ1指名の入団拒否”となりかねなかった。
それでも日本ハムと「申し訳ないけど」と話した栗山監督は、粘り強く交渉にあたった。『大谷翔平君 夢への道しるべ~日本スポーツにおける若年期海外進出の考察~』という分厚い資料を作るとともに、投打二刀流としての育成プランも用意したという。この熱意が実り、12月9日に日本ハム入団を表明した。
2023年のWBCでは栗山監督のもと、大谷は圧倒的な二刀流の力を見せつけて侍ジャパンを優勝に導いた。さらにはメジャーで自身2度目のMVPに輝くなど、その選択は11年後に大きく花開いている。
エンゼルス入団時の契約に懐疑的な声もあったが
<名言3>
ひとつ間違いないのは、彼にとっては“金”がモチベーションでないということ。
(ケン・ローゼンタル/NumberWeb 2017年12月15日配信)https://number.bunshun.jp/articles/-/829522
◇解説◇
フリーエージェントとなっている大谷の去就を巡って、トピックスになる見出しは「約900億円」など、まさに天文学的な数字が並んでいる。
思えば、大谷が2017年のシーズンを終えてメジャーリーグ挑戦を決めた時も――現在のウィンターミーティングと同じく――移籍候補先にはドジャース、ジャイアンツ、カブス、マリナーズなどといった球団名が挙がり、ヤンキースやレッドソックスといった名門が早々に“落選”したことが話題になった。
一方で、当時の契約条件についてはアメリカで疑問の声が上がっていた。24歳以下の選手だと(当時大谷は23歳)当時の日本円で4億円程度に契約金が抑えられるマイナー契約となる。そのため“足元を見られてしまう”のでは、という見立てだ。
その論調に“待った”をかけたのがMLBを熟知するローゼンタル氏である。