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箱根路を経験した今井正人・井上大仁が、“未来の箱根駅伝”に馳せる思いとは?

posted2023/11/22 12:00

 
箱根路を経験した今井正人・井上大仁が、“未来の箱根駅伝”に馳せる思いとは?<Number Web> photograph by 写真提供:今井選手:トヨタ自動車九州株式会社、井上選手:三菱重工業株式会社

練習中の今井正人選手、井上大仁選手

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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写真提供:今井選手:トヨタ自動車九州株式会社、井上選手:三菱重工業株式会社

 かつて箱根路を沸かせたランナーは、未来の箱根駅伝にどんな思いを馳せるのか。

 順天堂大学時代に4年連続で箱根駅伝を走り、3度の5区区間賞を獲得した今井正人(トヨタ自動車九州)は、シューズの進化が及ぼす可能性についてこう語る。

「昔と今を比べると、明らかにスピード化が進んだと思います。それはやはり、厚底シューズが出てきたから。タイムの伸びは明らかで、履かない選択肢はないと思います。カーボンプレートがより進化するのか、あるいはグリップ部分が強化されるのか。長く続けていたら、きっとまた新たに画期的なシューズが出てくるでしょうね」

 箱根駅伝の創設期、ランナーが履いていたのは粗末な足袋だった。そこから徐々に素材などが進化し、100年以上が経った今は厚底シューズが全盛期を迎えている。道具の進化ととともに記録はこの先もまだまだ伸び続けていくのだろう。

 だが、シューズの進化が必ずしも記録に結びついていない区間がある。山の5区だ。

「不思議ですよね。なぜか5区だけ自分たちの頃から記録は伸びていません。自分でもあの傾斜とシューズの相性がどうなのか、ちょっと検証してみたいと思っていて。当時、もしも厚底シューズで5区を走っていたら、記録はどうなっていたでしょうね(笑)」

今井「毎年5区でどんな選手が出てくるか、今も楽しみ」

 今井が3年連続で5区の区間賞を獲り、「山の神」と名付けられたのは2007年大会の第83回大会のことだった。どんな位置でたすきをもらっても、必ずトップに立ってフィニッシュする。過酷な坂道において走力が卓越した選手のみに与えられるようになった、特別な名称である。

 箱根駅伝で「箱根」の名がつくエリアを走れるのは5区と6区のみ。今井は毎年、並々ならぬプライドを持って5区に挑んでいたという。

「本当にやりがいしかない区間で、毎年あの5区でどんな選手が出てくるか、今も中継を楽しみに観ています。柏原(竜二)君、神野(大地)君が2代目、3代目と呼ばれていますが、あと20年もしたら何代目まで生まれているんでしょうね。僕はもう過去の記録でしかありませんが、それにチャレンジしてもらえるだけでも、とてもありがたいです」

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