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モータースポーツPRESSBACK NUMBER
「失踪した父が知らない女性と…」「“砂時計ボディ“の愛称、気に入ってます」レースクイーン・藤井マリーの激動半生「なぜ化粧品販売からサーキットに?」
posted2023/11/19 11:00
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Shiro Miyake
レーススタート前にドライバーの近くで傘を差し、カメラマンの求めにさまざまなポーズで応じるレースクイーンの姿。日本のレースシーンでは当たり前になっている彼女たちは一体何者なのか。
2022-2023シーズンにレースクイーン・オブ・ザ・イヤーを獲得した藤井マリーさんに「レースクイーンになるまで」について話を聞いた。(全2回のうち第1回/後編は#2へ)
2022-2023シーズンにレースクイーン・オブ・ザ・イヤーを獲得した藤井マリーさんに「レースクイーンになるまで」について話を聞いた。(全2回のうち第1回/後編は#2へ)
パキスタン人の父と日本人の母のハーフ
――レースクイーンの女王になるまでの歩みをうかがいたいのですが、幼少期はメキシコで生活されていたんですよね。
藤井 パキスタン人の父と日本人の母、それに母と元夫との間の子どもが2人いて5人家族でした。父の仕事の都合で、3歳から小学校入学くらいまでメキシコに。残っている思い出は衝撃的な出来事ばかり。とにかく強烈でした。
――というのは?
藤井 お父さんがメキシコで色んな女性から言い寄られて、モテ男に激変したんです。その中のある女性が父に求婚したんですが「小さい子どもがいるから」と断ったそうで。そこで、女性は気づいてしまった。小さい子ども――つまり私がいなければいいんだと。ある日、家のガラスが割れる音が聞こえたので何事かと思ったら、部屋にダンボールが3つ投げ込まれていて。開けたら中にサソリと蜘蛛がぎっしり……。
――それは……怖すぎますね。
藤井 トラウマです。おかげで以降、集合体恐怖症に。ほかにもタクシーの運転手から急に銃を向けられて、母が財布を差し出したり。そんな衝撃体験をくぐり抜けたので、肝が座ったような気もします。
父が失踪、高校卒業後に化粧品会社に
――横浜の小学校に転入されて以降、安心して暮らせるようになったのでは。
藤井 日本では別の悩みが生まれました。横浜とはいえ田舎の小学校だったので、男の子からいじめられて。ハーフで色黒だったので「外国人」とか「お前毎日カレー食べるの?」とか言われましたね。同級生の男の子より背が高かったので、怖く見えたのかな。当時は本当に男の子が大嫌いでした(笑)。