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大谷翔平“魂の投球”→驚きの展開に!「こんな現場は初めて」記者が忘れられない名シーン…ドジャース名将からのラブコール「今夜の私はファン」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2023/10/05 11:05
今季は本塁打王のタイトルを手にした大谷翔平。しかし、投球もすごかった!
ドジャース戦で見せた「直球勝負」
『最も印象深い登板』――。6月21日の本拠地でのドジャース戦はそんな思いがある。メジャー6年目にして初めて、ドジャース相手にマウンドへ上がった。
結果は7回1失点で3敗目。だが、内容は見る者を唸らせるものがあった。直球は最速100.3マイル(約161キロ)をマークし、101球中、49球が直球だった。割合としては今季最多、スイーパーはわずか12球におさえ、力勝負を挑んだゲームだった。
今季終了後にフリーエージェントとなれば、その移籍先として有力視されるのがドジャースだ。その相手への大デモンストレーションなのか。そんな色メガネで見る報道陣もいたが、大谷はいつもと変わらず淡々と答えた。
「ゲームプランであったりとか、そのバッター個人個人の傾向であったりとかによって、多少変わってきますけど、投げ心地が断然に良かったので、まっすぐを多めに投げたという感じですかね」
この投球に目をうっとりさせていたのはドジャースの将、デーブ・ロバーツだった。試合後のクラブハウスでは、敵軍の将とは思えないほどに目尻は下がり、頬も緩みっぱなし。好きな女の子へ想いを馳せる男子高校生のような表情で51歳の監督は大谷について語った。
ドジャース監督まさかの発言「今夜の私はファン」
「今夜の私はファンのような気持ちで彼の投球を見ていた。100マイルの球を投げ、我々の打線を圧倒していた。彼の我々の打線に対する攻めが私は大好きだ。監督としての立場を第一に考えないといけないことはわかっている。だが……。彼を称賛せずにはいられないんだ」
ロバーツ監督の大谷への公開ラブコールは試合前から始まっていた。他球団の選手に対し、勧誘と受け取られるような発言はタンパリングとして罰せられるが、“ある言葉”を隠れ蓑に日系2世の指揮官は公然とメッセージを贈った。
「“ファンとして”、マウンドでの投球、打線の上位を打つ打撃を楽しみにしているんだ。彼はリトルリーグの頃を思い起こさせてくれる選手だからね。“ファンとして”、対戦が楽しみなんだ」