終了のホイッスルを待たずに、目立つようになった空席。諦めとため息、そして大ブーイングが交差したヴォルフスブルクの試合は、ドイツにとっては大きな恥だが、日本にとっては“奇跡”ではなかった。「いやぁ、勝っちゃいましたねぇ」と挨拶をかわす日本の報道陣は、その言葉とは裏腹に、喜びとは少し違う、自信に満ちた表情をしていた。

トルコ戦で目にした“勝ち切るチーム”の強さ

　ドイツに完勝した“強い日本”の欧州遠征2戦目は、ベルギー・ゲンクでのトルコとの親善試合。中2日で、現地時間14時20分開始のデーゲームだ。

トルコ戦でスタメンを大幅に入れ替えた日本　©Masashi Hara

　日本のような湿気こそないものの、今年のオランダやベルギーは、まだ日向が30度に達するほど夏の暑さが残っている。

　ドイツ戦から伊藤洋輝以外の10人を入れ替えた日本は、立ち上がりからトルコに押し込まれた。最終ラインと中盤の距離感はドイツ戦ほど適切ではなかったが、大幅なメンバーチェンジを考えれば仕方のないことだった。だが、久保が下がってボールに絡み、初招集・初出場の右SB毎熊晟矢が巧みにポジションを移動することで、次第に攻撃の機会を作っていった。

代表デビュー戦でインパクトを残した毎熊晟矢　©Masashi Hara

　15分に伊藤敦樹の強烈なシュートがゴールに吸い込まれると、28分には久保のシュートの跳ね返りを中村敬斗が押し込んで2－0。中村は36分にもゴールを決め、「なんでこの展開で3点差をつけられるんだよ……」というトルコサポーターの嘆き節のようなブーイングが飛ぶことになった。

トルコ戦で2ゴールを決めた中村敬斗　©Masashi Hara

　その後、連携面に不安を残す守備陣が脆さを露呈して2点を返された日本だったが、スピード違反の切符を切られそうな伊東の独走でPKを獲得し、勝負あり。最後の交代カードとして冨安を投入したことで守備の安定感も取り戻し、そのまま4－2で試合を終えた。

　内容そのものはドイツ戦とは比べものにならないが、欧州中堅国のトルコを相手に、控え組を中心としたメンバーで勝利という結果を手にした。思い通りの展開ではなくてもゴールを奪い、勝ち切ることができる。ターンオーバーに目処がついたことも含めて、またひとつ“強いチーム”への階段を上がったと言っていいだろう。異なるメンバー、異なる相手、異なる状況で勝利という共通の結果をしっかりと残せるようになった日本は、ここからさらに自信をつけていくに違いない。

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