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オリンピックPRESSBACK NUMBER
173cmの長身、長い手足の「モデル体型」で話題に…走高跳日本王者“フェアリージャンパー”高橋渚23歳とは何者か?《『さんまのラブメイト』で注目》
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/09/13 11:01
日本選手権2連覇中の女子走高跳・高橋渚選手。20年以上更新されていない日本記録にたどり着けるか
実際に今年の2月、初めて高橋は単身でオーストラリアの競技会に参加した。
「ブダペスト世陸に出るための世界ランキングを上げるために、世界の大会に出ていく必要があって。去年末くらいから真剣に海外の大会を探していたんです。あとは他種目で記録を出している選手たちと比べて『何が足りないんだろう』と思った時に一番大きいと思ったのが海外の大会の経験値だったんですよね」
種目こそ違えど、同世代のライバルに置いていかれたくない気持ちも大きかったという。
ところがいまの日本走高跳の世界では、恒常的に世界の舞台で戦っている経験のある選手がいない。高橋も何もわからないところからのスタートだった。
「『よし、海外の大会に出よう』と思ったのは良いんですけど、最初は何をどうしていいかわからなくて。ほかの種目の選手に聞いて、どうやら海外の大会にでるにはエージェントを通さないといけないとか、そういう基本的なところからでした」
ようやく母校の日大の関係者の伝手を辿ってエージェントを見つけ、出場までこぎつけた。高橋の持ち記録的には参加が可能かどうかは微妙な状況だったというが、結果的に出場できたことで「自分の記録でも大丈夫なんだ」という経験値にもなったという。
もちろんそんな状況の中では、コーチを帯同する余裕もない。完全単身での渡豪だった。
「でも実際に大会に出てみて、やっぱり全然違いました。海外だと1m85cmとかの高さでもみんな残っている。消化試技じゃないからずっとテンションも高いまま。その環境に慣れていかないと絶対にダメだなと」
「高橋って本当に強いんだ」と思ってもらうことが大事
一方でその理想を突き詰めるには、金銭的にも時間的にも、さらに多くの支援が必要になることは想像に難くない。プロではない実業団所属の選手であっても、企業側がアスリートを応援するのは、宣伝効果を求めてのことだ。無論、それには知名度が高いに越したことは無い。つまり、ファンの多寡はそのまま競技力の強化にも関わって来る要素でもある。
「日本チャンピオンといっても世界を見ればすごい人はたくさんいるわけで。そういう世界で戦っていくためにも、少しでも多くの方にファンになってもらうことって、とても重要なことなんです。その上で例えば今回のテレビの企画とかから入ってファンになってくれた方が見ても『あ、高橋って本当に強いんだ』と思ってもらえることが大事なんだと思います。そういう意味では気を引き締めていかないと、と思っています」
では、そんな高橋がいま、目指す目標はどこにあるのだろうか?
<「女子走高跳びの現在地」編に続く>