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村上宗隆はなぜ自分の可能性を信じ続けられたのか? 過去発言から読み解く「もっとやれたんじゃないのか」「一番怪物だったのは…」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byGetty Images
posted2023/03/22 18:02
昨季セ・リーグ三冠王の村上もWBCの1次ラウンドでは苦しみ、4番から5番へと打順が変わったがマイアミの地で見事復活を果たした
「次の打席も、最初のストライクを叩いてツーベース。ここまで甘い球になかなか手が出ていなかったので、『とにかく振りにいこう』という意識もあったんでしょう。加えて、強化試合から続いていた“小さなズレ”が、打席を重ねるなかでかなり改善されてきた印象です」
大会通じて村上のスタッツを見ると、実はチェコ戦から決勝アメリカ戦まで5試合連続安打、4打点をマークしている。打順こそ大会途中から5番になったが、日本の主砲としての役割を果たしたと言っていい。
高卒2年目で36本塁打96打点
<名言2>
昨年(2019年)の成績に関しては、すべての面において“もっとやれたんじゃないのか、もっとやれるんじゃないのか”という思いは強く持っています。
(村上宗隆/NumberWeb 2020年8月27日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/844808
◇解説◇
村上は23歳にして、これだけの期待と重圧を背負うスラッガーとなった事実も見逃せない。ヤクルトは2017年のドラフト会議で清宮幸太郎の抽選を外し、次いで村上を指名する。巨人、楽天と競合したものの、ヤクルトが交渉権を獲得した。ルーキーイヤーはファームでじっくりと鍛え上げられて好成績を残しつつ、シーズン終盤の一軍昇格で初打席初ホームランを放ち、飛躍を期待させた。
翌2019年、村上は高卒2年目の選手として踏まえれば、十分すぎるほどの成績を残した。全143試合出場、打率.231、36本塁打、96打点。新人王を取ったのも当然だ。何しろセ・リーグの本塁打数で村上を上回ったのは、ソト(43本)と坂本勇人(40本)だけ。同僚の山田哲人(35本)やバレンティン(33本)、岡本和真(31本)、筒香嘉智(29本)、鈴木誠也(28本)と並み居る強打者を抑えての3位というのは、大きすぎる価値を持っている。
村上の飽くなき向上心
しかし、村上は好成績に満足感を持つことなく、リーグ最多の184三振、低い打率を「反省点」としてとらえる気持ちの方が大きかったのだという。実際、このシーズンまでチームを率いた小川淳司氏もこのように話していた。