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「侍ジャパンお肉150人前+白米30合」「“たっちゃん”は器用に箸を…」あの焼肉店で何があった? 結束を固めた“大阪の夜”ウラ話
posted2023/03/09 11:16
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Naoya Sanuki
大阪・鶴橋のコリアンタウンから、近鉄の大阪上本町駅方向へ少し歩いたところにその店はある。「明月館(めいげつかん)上本町本店」。かつて道頓堀にあった1号店から約50年続く韓国焼肉の名店だ。
落ち着いた佇まいの入り口で、看板をバックに記念撮影をするお客さんの姿が見えた。手には野球日本代表「侍ジャパン」のグッズ。
14年ぶりの世界一奪還を目指すワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開幕を前に、史上最強と言われる「ドリームチーム」の結束の地として、この店はすでに野球ファンの密かな“聖地”になっている。
「ファンの皆さん一緒に頑張りましょう!」
日の丸の国旗の絵文字をつけたメッセージと共に、大谷翔平(エンゼルス)が自身のインスタグラムに写真をアップしたのは5日深夜のこと。そこに映るのは、焼肉のロースターを囲んだ宴の後に、写真に収まる30人の選手たちと水原一平通訳。選手同士で肩を組んだり、ピースサインを作ったりとリラックスした姿で、皆が最高の笑顔を浮かべている。最後に帰国した吉田正尚(レッドソックス)と追加招集されたソフトバンクの牧原大成が合流してチーム全員がようやく揃ったこの夜、侍戦士が結集した初めての「決起集会」が開かれたのだ。
山川穂高(西武)は明かす。
「ご飯もいっぱい食べたし、お酒も多少飲んだしね。普段は絡まない選手同士をこの短期間の間で1つのチームにするということで、コミュニケーションを取れる場があった方がいいと思うし、すごく楽しかったです」
8つのテーブルを自由に行き来して交流
大谷翔平の乾杯の音頭から始まった宴は大いに盛り上がった。
最初に店が用意していたハラミと塩タンからスタートし、後はそれぞれが自由に注文。ロース、カルビ、厚切りタン……。選手たちは思い思いにトングで肉を焼きながら、野球談義に花を咲かせた。最大で40人が入れる大広間にテーブルは8つ。それぞれが席についていたのは最初だけで、途中からは皆がテーブル間を自由に行き来して肉を頬張り、杯を重ねながら無礼講でコミュニケーションを深めたのだという。