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「“桑田佳祐コミッショナー”が加藤浩次や槙野智章と共闘」「女性プロ3人が涙」“エンタメ+ガチ勝負”のボウリング大会が楽しかった件 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byKayo Sekiguchi

posted2023/03/04 06:00

「“桑田佳祐コミッショナー”が加藤浩次や槙野智章と共闘」「女性プロ3人が涙」“エンタメ+ガチ勝負”のボウリング大会が楽しかった件<Number Web> photograph by Kayo Sekiguchi

ボウリング「KUWATA CUP」のエキシビションマッチで投じる桑田佳祐さん

 エキシビションマッチでは加藤浩次さんや元サッカー日本代表の槙野智章氏らとともにチームを組んで、姫路麗プロと名和秋プロと対戦した。163点のスコアに「もう全然ダメです、緊張してしまいまして……また修行してまいります」と桑田さんは語っていたが――そもそもこれだけの満員の観客の中でスペア、ストライクを決められる度胸、そしてファンを沸かせるスター性はさすがと思うばかりだった。

プロ部門の決勝は、緊迫感にあふれていた

 それとともにスポーツ的観点で見ると……この環境下で行われたプロボウラー部門決勝を取材すると、想像していた以上に緊迫感あふれる戦いだった。

 この大会の基礎知識についてザッと知っておくと、22年9~12月にかけて全国予選会が開催されてきた。アマチュアは「ジュニア/一般男子/一般女子/シニア/ダブルス部門」と細かなカテゴリ分けがされている中で、プロボウラー部門も並行して行われており、決勝の前日に開催された準決勝を勝ち上がった男女6人(プロ予選〜準決勝は1月末実施)が晴れ舞台へと駒を進めたのだった。

 プロボウラー部門男子決勝/優勝:斉藤琢哉プロ、2位:山本勲プロ、3位:小林哲也プロ
 プロボウラー部門女子決勝:優勝:大嶋有香プロ、2位:岩見彩乃プロ、3位:坂本かやプロ

 プロ部門は決勝までに男子は23ゲーム、女子は21ゲームを戦ってきたという。さらに優勝賞金は男女あわせて総額600万円と、プロナンバーワンを決めるに相応しいものが用意されていた。そして迎えた決勝戦は1ゲーム勝負で、公平を期すために2つのレーンを交互に投げる「アメリカン方式」が採用されていた。

女子決勝では3選手の目に涙が…

 ボウリングの競技性って、どんなものなんだろう? と思って見ていると、とても奥深い競技であることを知った。決勝進出の6人中4人が左投げで、ピンクに染めた髪が印象的な岩見プロは右投げながら「バックアッパー」という、野球で言えばシュートピッチャーのような軌道で投げ込んでいく。その中で曲がり幅など“2つのレーンの微妙な性格の違い”をつかめるかが、非常に大事なのだという。

 何より――桑田さんのストライクでも触れたが――7000人がじっと凝視する中で、再現性あるフォームでストライクを取りきる難しさを肌で感じた。先に始まった男子では、予選1位通過だった山本プロが初ストライクを取る5フレーム目まで、厳しい表情を浮かべていた。それはまるで、カタールW杯のPK戦を思い出すかのような重みだった。

 とはいえ、会場を取り巻く雰囲気も、徐々に選手たちを後押ししようとする。各プロが投じる前に「いけ!」「がんばれ!」と声がかかり、もしオープンフレームになっても温かい拍手が送られていた。

 特に印象に残っているのは、女子部門のクライマックスシーンである。最終フレームまで3人が優勝の可能性を残す中で、大嶋プロの優勝が決まると、全員が涙を流していた。嬉しさ、悔しさなど感情はそれぞれ違うだろうが、3人ともに健闘を称え合う姿は取材者であることを忘れて、こちらも少し感傷的になってしまう美しいシーンだった。

【次ページ】 桑田さんの熱唱で会場の気温が上がったように感じた

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