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「スケボーが出来る子に演技レッスン」「優しすぎない女子アナ妻」話題ドラマ『オールドルーキー』脚本家が明かす制作秘話

posted2022/07/31 11:02

 
「スケボーが出来る子に演技レッスン」「優しすぎない女子アナ妻」話題ドラマ『オールドルーキー』脚本家が明かす制作秘話<Number Web> photograph by TBS

現在放送中のTBS日曜劇場『オールドルーキー』。Jリーガーだった主人公の“セカンドキャリア”を描く今までになかった新しいドラマの制作秘話を脚本家の福田靖さんに聞いた

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木俣冬

木俣冬Fuyu Kimata

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 所属するクラブが解散し、突然の現役引退を余儀なくされた元日本代表サッカー選手・新町亮太郎(綾野剛)が絶望のなかでセカンドキャリアを模索し、スポーツマネジメント(代理人)に転身する――。ありそうでなかったスポーツの新しい世界を描く日曜劇場『オールドルーキー』(TBS系・日曜よる9時~)。脚本家の福田靖さんは前クールでは元ボクサー(木村拓哉)が高校ボクシング部のコーチになる『未来への10カウント』(テレビ朝日系)も手掛けていた。なぜ今、スポーツ選手のセカンドキャリアを2クール連続で描いたのだろうか。
 
 月9『HERO』(フジテレビ系)、大河ドラマ『龍馬伝』(NHK)、朝ドラこと連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)とヒットドラマを数多く手掛けてきた作家の心を動かした、スポーツ選手のセカンドキャリアというテーマに秘められた魅力を聞いた(全2回の1回目/#2に続く)。

◆◆◆

「『オールドルーキー』の企画の打ち合わせをはじめたのは2020年の冬くらい。『未来への10カウント』より先でした。TBSさんからいくつか企画案を提案していただいたなかに引退したスポーツ選手の話があって、実際に引退したJリーガーの方などに当たり取材をはじめました。そうしているうちに現役のアスリートには専門的にサポートするスポーツマネージャーがいることを知り、それがとても興味深かったため本格的にスポーツマネージメントの取材に切り替えたんです。

 セカンドキャリアが公認会計士でもいいけれど、マネージャーとしてアスリートをサポートする側にまわるストーリーだったらアスリート経験者だからこそわかるアスリートの気持ちも描けますし、作品としていけるかなと確信を持ちました」

30人以上に取材…“これまでなかったドラマ”を作るために

 スポーツマネージメントとは何か。アスリートたちとどういう契約でどういうサポートをしているか。福田さんは取材を進めた。カーリングのロコ・ソラーレなどが所属するスポーツビズ、MLBのシカゴ・カブスの鈴木誠也選手が所属するスポーツバックスなどのマネージメント会社をはじめとして、元マラソン選手・高橋尚子さん、室伏広治さんの妹で元陸上競技選手・室伏由佳さんらセカンドキャリアを成功させた元選手、さらに現役スポーツ選手やその妻など福田さんが取材したのは30人を超える。

「スポーツマネージメントを扱ったドラマはこれまでなかったと思います。1996年にトム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』というスポーツマネージメントの映画があって、それが面白かったものだから、日本でも各局で同じテーマを意識した企画が上がった記憶はあります。ただ当時の日本にはそういう会社が確立されていなかったから成立できなかった。

 僕は2004年に『ワンダフルライフ』(フジテレビ系)でプロ野球選手が引退後に少年野球のコーチになるドラマの脚本を描いてますが、その時は“セカンドキャリア”という認識も一般的ではありませんでした。だから僕もあくまでシンプルに少年野球チームの奮闘記として描きました。そう言えば、偶然にもマネージメント会社ビクトリー社長役の反町隆史さんが主人公でしたね」

【次ページ】 勝負に囚われない“人間ドラマ”にこだわる理由

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