次のシーズン限りでペップはバイエルンを去ることになった。しかしその後、マンチェスター・シティの指揮官に就任したペップは、プレミア、そしてヨーロッパの舞台でチームに強豪としての力を常時発揮させている。一方でメッシが去ったバルサは……残酷な栄枯盛衰のコントラストである。

バルサでのCL制覇時　©Takuya Sugiyama

「3-4-2-1」の数字では表現しきれないメカニズム

＜名言3＞
いい選手がいなければ、いい戦術もありえない。私はベストの組み合わせを考えるだけだ。
（ジョゼップ・グアルディオラ／Number2015/6/27臨時増刊号 2015年6月13日発売）

バイエルン時代、ゲッツェに指示を与えるペップ　©Takuya Sugiyama

◇解説◇
　バルサにこそ敗れたとはいえ、バイエルン2年目のCLグループステージ、ローマ戦では衝撃的な戦いぶりを見せた。数字上で表すと、シャビ・アロンソとラームのダブルボランチ、レバンドフスキの1トップという「3-4-2-1」システムで臨んだのだが、フォーメーション以上に驚きだったのがそのメカニズムだ。

　前線の選手が斜めのスプリントを繰り返しつつ、元のポジションに戻る。その動きを連続することでローマ守備陣を幻惑し、7－1の圧勝を飾った。まさに戦術の勝利と言えるが、名将ペップはゲームプランを忠実に遂行した選手たちがいるからこそ、と称えた。これもマン・マネジメントの1つだろう。

＜名言4＞
ペップには、ピッチ上で次に起きることを見通す力があるんだ。
（ダビド・シルバ／Number977号 2019年4月25日発売）

ダビド・シルバに指示を与えるペップ　©Getty Images

◇解説◇
「100」と「98」。プレミアリーグ連覇を果たしたマンチェスター・シティが稼いだ年間勝ち点は、2017-18、2018-19シーズンの圧倒的な強さを象徴する数字だ。

　この圧倒的な強さは、ジョゼップ・グアルディオラ監督がポジショナルプレーを始めとした様々な戦術をチームに落とし込んだからこそ。同じスペイン人であるダビド・シルバもその指導ぶりに舌を巻く1人だ。

「ボールが今、どこにあるのかを踏まえた上で、このゾーンにいろ、と細かく指示してくれる。（中略）こんな監督はいままで見たことがなかったね」

　2021-22シーズンのプレミアリーグでもペップ率いるシティは独走態勢を築いている。ワールドクラスの選手を魅了する名将は今後、どんな斬新な戦術を編み出すのだろうか。

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