濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
売上高2.5倍も「スターダムをもっと広めたい!」岩谷麻優、林下詩美らトップ選手が“晴れ着”で語った“2022年への野望”とは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byMasashi Hara
posted2021/12/30 17:06
お正月特番に晴れ着で出演した選手たち。左から中野たむ、ジュリア、岩谷麻優、林下詩美、スターライト・キッド
「スターダムが日本武道館に進出!」といったニュースがまず話題を呼び、個性的な選手たちが激闘を展開することでさらに話題が広まる。注目の場面はツイッター、YouTubeでも流れる。それを見た者がファンになっていく。戦略発表で使われた文言でいえば「積極的な事業展開」。魅力的な“コンテンツ”だからこそSNSでも反響があるのだ。
「コロナ禍でここまで伸ばしたのは凄い。どう考えても逆風なのに。それは興行をちゃんとやってきたからだと思います」(木谷)
現場で取材していると、2021年は女性ファン、家族連れの観客が増えてきた印象もある。日本武道館や大阪城ホール、代々木競技場は人気アーティストのライブ会場としても知られているだけに、イメージ的にも足を運びやすいのではないか。「後楽園ホールってどこ?」という人でも日本武道館なら分かるだろう。
大会場での試合は“選手のモチベーション”にもなる
ビッグマッチ路線は、コロナ禍だからこそだと木谷は明かす。
「キャパの1/3でも恥ずかしくないですから」
スターダムは成長過程にある団体。武道館や大阪城ホールをすぐに満員にできるわけではない。ただコロナ禍ではそもそも客席を“間引き”した状態、収容人数に制限がかけられている。どうやっても「フルハウス」はないわけだ。客席が埋まらなくて当然。だから思い切って大会場に進出しやすい。
とはいえ、コロナ禍で消費や外出にまつわるマインドが落ちている中、スターダムの観客動員は日本の団体でもトップレベル。男子の人気団体にも負けていない。(諸条件に違いはあるが)同会場での観客数が新日本プロレスを上回ったこともある。
またコロナ禍では観客の声援も禁止だ。木谷はその点も意識した。
「満員の会場が素晴らしいのは、その熱気です。熱が生まれるのは声援があり、そこで一体感ができるから。それがないなら、満員でもそうじゃなくても関係ないかなと」
どうやっても完璧な状態にはならない。それなら、不完全を承知でビッグマッチをやろうというスタンスだ。“背伸び”して大会場で試合をすれば、選手のモチベーションは上がる。「いつかこの会場を満員に」という気持ちにもなる。そして大会場に進出すること自体がニュースバリューを呼ぶ。
2022年もビッグマッチを充実させつつ(12.29両国大会の会場では、3月の両国2days興行も発表された)、新たな展開も出てくる。コロナ禍の収束が見込まれれば客席数制限がなくなってくるだろう。“声出し”も可能になる。そうなると会場の大きさと同時に一つ一つの大会をしっかり満員にし、熱気を生み出すことが重要になる。