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大本命・峰竜太はなぜ転覆したのか? 歴代ワースト“41億円”が返還されたボートレースの祭典「賞金王決定戦」を現役記者が解説 

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山内翔太

山内翔太Shota Yamauchi

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photograph byJapan Motor Boat Racing Association

posted2021/12/22 17:00

大本命・峰竜太はなぜ転覆したのか? 歴代ワースト“41億円”が返還されたボートレースの祭典「賞金王決定戦」を現役記者が解説<Number Web> photograph by Japan Motor Boat Racing Association

大クラッシュが発生する直前、グランプリ優勝戦の第1ターンマーク。青の4号艇・瓜生正義の「ツケマイ」を受けて、白の1号艇・峰竜太はギリギリの旋回を試みたが……

 そういった状況をあらためて振り返ると、今回のケースは不慮の事故と表現するほかはないのかな、と個人的には思っています。峰選手は妨害失格となりましたが、フライングや出遅れなどのスタート事故と意味合いは異なりますし、SG出場停止のようなペナルティが課せられることもありません。

売上の大半を占める3連単が不成立に

 ボートレースにおいて、規定の時間より前にスタートするフライングと、規定から1秒以上遅れた出遅れは欠場艇扱いとなり、その艇が絡んだ舟券は払い戻し(返還)となります。通常は転覆や落水では返還にはなりません。しかし今回は4艇が転覆してゴールできなかったため、3着までが対象の3連単と3連複そのものが不成立となりました。

 3連単は、舟券の売上の大部分を占める券種です。ボートレースは6艇で争うので、競馬などとは異なり3連単でも120通りしかありません。他の券種と比べて倍率が高く、かつ的中させる難易度も決して高くないため、「ボートレース=3連単を買うもの」という認識がユーザー間で共有されています。約42億7000万円の売上のうち、41億円以上が返還されるという結果は、多くのファンが3連単をメインに購入していたことの裏返しです。

 舟券購入者の視点からすれば、返還のなかった2連単などを買っていた人以外は、買った金額がそのまま戻ってくるわけですから懐は痛みません。今回の件でもっともダメージを受けたのは、主催者であるボートレース住之江でしょうね。売上の大半がなくなっても、グランプリの優勝賞金や2着の賞金はしっかりと払わなければいけないので、ひとつのレースという視点で見れば大赤字です。

 とはいえグランプリの舞台となった今回の住之江ナイターは、開催6日間で目標の230億を上回る240億円を売り上げています。最後の最後に41億円の返還となって関係者は青ざめたと思いますが、ボートレース人気は年々高まっていますし、決して破滅的な損害というわけではない、ということは強調しておきたいところです。

【次ページ】 不幸中の幸いは負傷者が出なかったこと

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