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《赤裸々告白》担架で運ばれたJリーガーはどこへ? FC東京DF中村帆高が鳴らした“ナースコール30回”と長谷川健太への電話
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byF.C.TOKYO
posted2021/12/03 06:00
4月3日のアウェー名古屋戦で負傷し、長期離脱を強いられたFC東京DF中村帆高
11月27日、道を切り開くための第一歩を踏み出した。
サンフレッチェ広島戦の後半26分、238日ぶりに公式戦のピッチに立った。ファーストプレーでは、相手のクリアボールに体を投げだして飛び込み、フリーキックを獲得。後半37分にカウンター攻撃を受けた場面では、センターサークル付近から全速力で戻り、浅野雄也のシュート寸前で体を入れる。後半40分にはジュニオール・サントスのドリブルがこぼれたところへ、迷わずスライディング。このボール奪取が、紺野和也の逆転ゴールにつながった。
「今までは、自分の感情に身を任せる部分もあったんです。でも、このリハビリ期間で自分自身を俯瞰的に見ることができるようになったと思います。うまくいかない時期も、つらい時期もありました。そこで感情に任せて、ネガティブになってもしょうがない。なるべく感情の波を小さくして、状態が良いときも、悪いときも、なぜ自分の感情がそうなっているのか、より良くするには何をすればいいか考えられるようになりました。リハビリしている中村帆高を、もう1人の自分が少し離れたところから見ているような感覚ですね。
ここまで様々な過程がありましたが、ピッチに立ったら勝ちたいという想いだけ。勝つために自分が出せるプレーをやるしかないと思っていました。ここがゴールではなく、始まりにすぎない通過点だと思っているし、今日の20分間を次の試合や来年にどうつなげていくかだと考えています。ホームでの最終戦も全力で頑張りたいです」
6カ月のリハビリ秘話を“美談”にできるかは、自分次第。客観的に自身を見つめるサイドバックが、一番それをわかっている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。