「地方大会では盗塁のサインは出ていなかったんですけど、監督からは風間くんがランナーに意識を持ったら、投球が乱れるんじゃないかと、試合前から盗塁のサインを出すぞと言われていて、準備はしていました。1回の盗塁ではアウトになったんですけど、監督は『風間くんはランナーを意識して高めに浮いたりとボールを引っかけてくるのではないか』と言っていました」

　投手と打者との1対1の対決ではなくチームとして攻めていく。待球作戦ではなく、風間投手の打つべきボールとそうでないボールを見極められた背景にはそうした餌撒きがあった。「試合を見ていると風間くんはクイックになるとストライクが入らなくなる。牽制も上手じゃなく、ウエストを投げる余裕もない。仕掛けようと思った」と馬淵監督はそう話している。

3回表明徳義塾がタイムリー内野安打で1点目。一塁へ滑り込む森松（下）とベースカバーの風間球打。明徳義塾はプロ注目の風間に6回139球を投げさせ、2番手以降の投手を打ち崩した　©KYODO

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「ピッチングマシンを50cm以上高くした」

　そうした目に見えるものと見えないもので風間にプレッシャーをかけて、飛び出したのが5回表の森松のタイムリーだ。森松は練習から調子が良いのは間違いなかったが、しっかりした対策がうまくハマった。

　馬淵監督はいう。

「風間くんのボールには角度があるから、マシンの下に木のパレットを置いて50センチ以上高くしてバッティング練習をやりました。2、3日やっただけで簡単に打てるものではありませんけど、意識づけをしました。アゴを上げて、高めのボールを振らず、低めをしっかり見極めていく。そして、甘くきたところをしっかり打ち返す。今の時代は150キロくらいのボールはどのチームも練習していますから。それをしっかり打ってくれた」

　森松はカウント1−1からの3球目をしっかり捉えて右翼前にはじき返した。

馬淵監督「相手の作戦をどうこう言える立場ではないけど…」

　初回から打者それぞれが粘り、走者に出ればプレッシャーをかける。ただ甘い球を打ち返したのではなく、あの手この手の作戦が功を奏した形だ。

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