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「“日本の運営能力は完璧”の信仰が崩壊」 高くてマズい食事、英語、酷暑…ブラジル人記者が辛辣に語る“東京五輪の問題点”とは

posted2021/08/07 11:01

 
「“日本の運営能力は完璧”の信仰が崩壊」 高くてマズい食事、英語、酷暑…ブラジル人記者が辛辣に語る“東京五輪の問題点”とは<Number Web> photograph by Rick Madonik/Getty Images

五輪のMPC内の様子。ブラジル人記者が東京五輪運営の率直な評価を語った

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Rick Madonik/Getty Images

閉幕が近づく東京五輪。外国人記者からの目から見て今回の運営はどう見えたのか。ブラジル在住ライターのネットワークを生かし、実態を聞いてみた。 

 東京五輪で、ブラジルは8月5日までに金4、銀4、銅8の計16個のメダルを手にしている。男子サッカーが決勝に、男女バレーボールが準決勝に勝ち進むなど大会終盤にまだ有望種目が残っており、母国メディアは「2016年リオ五輪の19を上回る史上最多のメダル獲得が濃厚」と威勢がいい。

 ブラジル選手の活躍をカバーするため、100人以上のブラジル人メディア関係者(テレビ、新聞、インターネットなど)が母国から派遣されている。

 コロナ禍の中で開催された今回の五輪は、彼らの目にどのように映っているのだろうか。現地取材をしているブラジル人記者2人と国内で日本からの記事を取りまとめている五輪専門のベテラン記者に話を聞いた。

<パウロ・ファベーロ記者(46)>
サンパウロの有力日刊紙「オ・エスタード・デ・サンパウロ」の運動部記者。五輪取材は、2012年大会以来、連続3度目。日本には7月18日に到着し、8月10日まで滞在。

<パウロ・コンデ記者(37)>
ブラジル最大のスポーツサイト「グローボ・エスポルチ」記者。五輪取材は、2008年大会以来、連続4度目。日本には7月5日に到着し、8月10日まで滞在。

<マルセロ・ラグーナ記者(57)>
有力日刊紙の記者として、五輪5大会を取材。2015年より、「毎日がオリンピック」というブラジル唯一の五輪関連サイトを主宰する五輪報道の重鎮。

行動範囲限定は忠実に守っているよ

――大会前から行なってきた個人としての新型コロナウイルス対策は?

ファベーロ記者:新聞社からの指示で、日本へ出発する2週間前から一切の外出を控えた。日本へ出発する4日前と3日前にPCR検査を受け、陰性を確認された。日本へ到着してからは4日連続で検査を受け、以後も4日毎に検査をしている。

 日本到着後、最初の14日間は行動範囲がホテル、メディア・プレス・センター(MPC)、競技会場に限定され、移動手段も専用バスか大会組織委員会が認定する車両に限られた。これらの制約を破るとメディアパスを没収する、と言われており、それは困るので、忠実に守っているよ(笑)。

【次ページ】 英語以前の問題として、正確な情報を……

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