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大谷翔平「2カ月連続月間MVP」はもっと絶賛されるべき偉業… 少し打てないと騒がれるが「少ない好不調の波」と投手成績もエグい 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/08/06 11:02

大谷翔平「2カ月連続月間MVP」はもっと絶賛されるべき偉業… 少し打てないと騒がれるが「少ない好不調の波」と投手成績もエグい<Number Web> photograph by Getty Images

現地時間4日のレンジャーズ戦でも好投した大谷翔平。打者としても本塁打王争いトップをキープし、いよいよ二刀流の凄みが増している

 大谷は春先に比べると打数が少なくなっている。これは四球が増えているからだ。4月は3四球だったが、5月は13、6月7月は16。大谷の猛打の前に各投手が勝負を避けるようになってきている。これは強打者の宿命だ。

 一方で三振数は4月の27から5月は33、6月は27、7月は実に37、通算124三振はリーグ3位、シーズン200三振に手が届く可能性もあるが、これは「ホームランのコスト」と考えるべきだろう。

7月は「投手・大谷」の数字が明らかによくなった

 大谷の月間投手成績も見ておこう。PRはリーグ防御率に基づく総合指標。

4月 3試合
1勝0敗13.2回13四死球23振 率3.29 PR1.09 (94)
5月 4試合 
0勝1敗22.2回13四死球27振 率2.38 PR4.56 (25)
6月 5試合 月間MVP
2勝0敗23.2回9四死球33振 率4.94 PR-0.52 (168)
7月 3試合 月間MVP
2勝0敗20.0回1四死球17振 率1.35 PR6.76 (7)

 打者・大谷翔平は規定打席に到達している一方で、投手・大谷翔平は規定投球回数には達していない。勝利、奪三振など積み上げ型の記録では、リーグでのランクはそれほど上位ではない。また防御率もランク外だが、月間の数字を見ていくと、7月は劇的に数字がよくなっていることが分かる。

 ただしPRは(リーグ平均防御率-その選手の防御率)×投球回数÷9で導き出されるが、7月のPR6.76は並み居る規定投球回数以上の選手に混じって7位になっている。リーグ屈指の成績だ。

減った四球、これまでの偉大な選手たちの面々は?

 しかも与四球はわずか1。1イニング当たりの奪三振数は減少したが、極めて精度の高い投球だ。7月の大谷翔平はリーグ屈指の好投手だったのだ。

 7月の大谷翔平は打者としての成績だけで受賞したが、投手成績を加味すればダントツの評価だったと考えられる。

 MLBの月間MVP (the Player of the Month Award) は、野手のなかから毎月両リーグで原則として1名ずつが選出される。2カ月連続のMVPは両リーグでは、16人17回記録されている。その顔ぶれを見ていこう。

 なお1973年までは月間MVPはナ・リーグのみで制定されていた。また1974年までは投手、野手の中から1名選出されていたが、1975年からは投手は月間投手MVP (the Pitcher of the Month Award) が別個に制定されている。ア=ア・リーグ、ナ=ナ・リーグである。

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大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス

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