フランス・フットボール通信BACK NUMBER
<ギネス記録>11カ国31クラブを渡り歩いた元ウルグアイ代表セバスチャン・アブレウ44歳が引退直前に語っていたこととは
posted2021/08/05 17:00
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
AFLO
みなさんはセバスチャン・アブレウを覚えているだろうか。2010年南アフリカワールドカップ準々決勝のウルグアイ対ガーナ戦でエディンソン・カバーニに代わって交代出場し、PK戦では5人目のキッカーとして冷静にパネンカを決めて、ウルグアイの準決勝進出に貢献したのがアブレウだった。
アブレウがサッカー界に名前を残したのは、27年の現役生活で31のクラブを渡り歩いたことだった。もちろん世界記録で、ギネスブックにも掲載されている。
この3月には44歳で、ウルグアイリーグ1部に昇格を果たしたスド・アメリカと契約し、試合にも出場し続けたが6月に引退を表明した。
『フランス・フットボール』誌4月20日号では、そんなアブレウをフローラン・トルシュ、アントニオ・モシェラ記者がレポートしている。スド・アメリカに加入直後のとき、現役続行に強い意欲を示していた彼が、2カ月後に一転して引退を決意したのには、何か大きな理由があったのだろうか?
(田村修一)
ズラタン・イブラヒモビッチ(39歳)やクリスティアーノ・ロナウド(36歳)が最高レベルでプレーし続けるベテラン選手であるならば、彼はサッカー界のディノサウルスといえる。44歳のセバスチャン・アブレウは、3月31日にウルグアイのスド・アメリカと契約を交わした。
1994年にプロデビューして以来、彼の31番目のクラブであり、世界記録としてギネスブックに掲載されている。ディエゴ・マラドーナと公式戦で対戦経験がある唯一の現役選手――サンロレンソ時代の1996年――であり、今年1部昇格を果たしたスド・アメリカでも、ときおりピッチに立って相手ディフェンダーに脅威を与えている。
現役生活27年、11カ国、31クラブでプレー
27年間の現役生活で彼は11の異なる国(ウルグアイ、アルゼンチン、スペイン、ブラジル、メキシコ、イスラエル、ギリシャ、エクアドル、パラグアイ、エルサルバドル、チリ)でプレーし、ほとんどの選手が現役を退いてベンチからチームを指揮する年齢になっても、2019~20年にサンタ・テクラ(エルサルバドル)とボストン・リーベル(ウルグアイ)で一時的に監督を兼任した以外は、一貫して現役にこだわり続けている。彼はこう語っている。
「最も大事なのは情熱の炎をともし続けることだ。それがなければ、たとえフィジカルが良好でも続けるのは難しい」