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がけっぷち福島千里はなぜ復活できたのか 「首の皮一枚つながった」30代ランナーに残された五輪出場への“2つの道”
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/06/09 11:01
長く低調が続いていた福島千里は布勢スプリントで好記録を叩き出し、日本選手権へ道をつないだ
ただ、5月の世界リレーで女子4×100mリレーの日本代表は4位に入り五輪出場権をつかんでおり、リレーメンバーの一員として4大会連続のオリンピック出場という道も残されている。メンバーは、リレーの特性のほか、日本選手権の成績も考慮して選考されるため、日本選手権で上位に入れば、福島が選ばれる可能性もあるだろう。
だが、世界リレーのメンバーを中心に若い選手が力を付けてきており、これもまた決して簡単なことではない。
30代で活躍するわずかな陸上選手のひとりとして
福島は、日本選手権の最終日の6月27日に33歳になる。
かつて福島のライバルだった高橋萌木子も昨年に引退。日本女子スプリント界で30代で第一線で活躍する選手は、福島を含め、市川華菜、和田麻希や大石沙也加ら少数しかいない。
現在の日本ランキング上位は大学生ら若い選手が占めているが、30代の福島にはまだまだやれることを見せてほしい。現に、布勢スプリントの前日には、ジャマイカのシェリー=アン・フレーザー=プライスが、34歳にして世界歴代2位となる10秒63(+1.6m)をマークして見せた。日本でも、2001年に二瓶秀子が30歳で当時の日本新記録を樹立した例がある。福島も、昨年までの不調を思えば今再び上り調子にあり、日本選手権では一矢報いる走りを期待したい。
日本の陸上女子選手でオリンピック4大会連続出場は、長距離では福士加代子がいる。福島がもし今夏の東京大会に出場すれば、福士に並ぶことになる。女子短距離ではもちろん単独で最多記録だ。願わくは、7月にオリンピックスタジアムを駆ける福島の姿が見たい。
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