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“球速132km”で阪神・佐藤輝明のバットをへし折った…ソフトバンク“残り1枠”を勝ち取った左腕の「独自理論」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph bySankei Shimbun
posted2021/03/29 17:00
2017年のドラフト、育成4位指名でソフトバンク入りした大竹耕太郎
手元でキュッと伸びる球質。さらに投球フォームとの「差」も武器になると考えている。前者が「思ったよりも来ている」と感じさせる球ならば、後者は「アレ?来ない」と打者を惑わす。見た目と現実の違い。「どんなに速いストレートよりもタイミングが合わない方が打ちづらい」とは何人もの強打者から聞いたことがある言葉だ。
それを生み出す投球フォームの中のリズムとタイミング。今季はそれも大きなテーマにしている。ヒントをくれたのは工藤監督だった。
「キャンプの時です。僕は朝からホテルのジムで出発前に体を動かすのが日課でした。その日は監督もランニングに来ていて、今しかないと思って質問をしに行ったんです」
それは今までの大竹にはあまり見られない行動だった。
「どちらというと、ずっと自分の感覚の中で解決をしてきた。でも、それでは今まで以上の成長は難しい。今年は周りの人から色々なことを吸収したいと考えています」
監督やコーチはもちろん、打者の長谷川勇也にも話しかけて打者目線からのアドバイスをしてもらったそうだ。
大竹自身の“開幕”は3月30日からのオリックス3連戦のいずれかになる。
「まだスタートラインに立っただけ。その中で生き残れるように、1試合1試合を必死に頑張っていきたい」
“速い130km”という個性。野球の奥深さを教えてくれる大竹のピッチングを、今シーズンは是非楽しみにしたい。