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天理・達孝太だけじゃない「投手の逸材揃うセンバツ」 スカウト「辻内の大阪桐蔭時代を思い出した」無名の“新2年生左腕”とは

posted2021/03/23 11:20

 
天理・達孝太だけじゃない「投手の逸材揃うセンバツ」 スカウト「辻内の大阪桐蔭時代を思い出した」無名の“新2年生左腕”とは<Number Web> photograph by KYODO

宮崎商戦で完投し、初戦を突破した天理・達孝太

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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KYODO

 春の甲子園に「センバツ」が戻ってきた。

 ブラスバンドのいないアルプス席の応援は控えめだし、お客さんの数も少なく、華やかな雰囲気とまではいかなくとも、3月のこの時期に甲子園で「高校野球」が行なわれていることが貴いのだと思う。

 昨年「2020センバツ」を、最近の10年でいちばん見たいセンバツと位置づけた。春はコロナで中止になって、夏に「代替大会」として各校1試合ずつのその試合を見たが、やはり、その通りの見ごたえを感じた精鋭たちだった。

 今年のセンバツも、選手個々の能力の高さでいえば、昨年とまったく遜色なしと言ってよい。特に「投手」に関しては、過去のセンバツでこれほどの快腕、剛腕が勢ぞろいした大会があったろうか。全国の「投の逸材たち」があらかたやって来た……そんな印象すらある。

 そこで、せっかくのそういう大会なのだから、「投手」に特化したレポートを甲子園の現場からお送りできればと思っている。まずは、6日間の「1回戦」を2日ずつ3話にまとめて、他のメディアがあまり取り上げない投手も含めて、私なりの切り口でお伝えしたい。

(1)公式戦デビューの新2年生左腕・楠本晴紀(神戸国際大付)

 同じサウスポーでも、明徳義塾・代木大和(3年・184cm85kg・左投左打)の113球完投1失点や、北海高・木村大成(3年・180cm78kg・左投左打)の10回途中まで146球、3失点の快投、奮投には驚かないが、神戸国際大付の新2年生左腕・楠本晴紀(186cm89kg・左投左打)の7イニング112球、6安打6奪三振2四球1失点には驚いた。

 突然のリリーフ登板…それも、序盤2回だ。プロ注目と評される先発・阪上翔也(3年・181cm77kg・右投左打)の投げっぷりがちょっとおかしい。腕を振ろうとしないのは、昨秋痛めた左ヒジがうずくのか。置きにいくからボールが浮いて、2安打1四球で2死満塁だ。

 その前から神戸国際大付ブルペンで投げていた大柄な左腕が、気になって仕方なかった。「投げないかな……」、隣りの記者に話しかけた直後に、よもやの緊急リリーフ登板となった。    

 楠本晴紀は雄大な体躯を持ったサウスポーなのだが、秋の新チームでは試合に登板していないとのこと。このセンバツ前の練習試合で何度か投げたのかもしれないが、いくらなんでも「甲子園」のこのピンチだ。 

 ベンチによほど“確信”があったのだろう。

 さすがに、代わりばなは速球が暴れて四球を許したが、スライダーがストライクになってから落ち着いた。

 北海高の2番・大津綾也捕手(3年・174cm70kg・右投右打)を膝元のクロスファイアーで空振り三振に切ってとると、イニングを跨いで3連続三振だ。

記者席からも「テークバックが見えない」

 投球フォームを見て、エンジンがかかってきたら、こりゃあ打てないぞ……私にも“確信”があった。

【次ページ】 記者席からも「テークバックが見えない」

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