皐月賞の権利どころか日本ダービーも？

　期待と不安のミックスフィーリングで見守っていると、前半1000メートルの通過ラップが62秒6と表示された。

「スピードの持続力がこの馬の持ち味なので、遅い流れに持ち込めたのは良いと思いました」

　もっとも、遅い流れの分、後続もすぐ後ろに迫っていたのはやはり気になった。

「ルメール（2番人気のシュネルマイスターに騎乗）がすぐ直後にいたので『この馬に差されちゃうかな？』という気持ちになりました」

　しかし、そう思う栗田の目に、直線、再び後続を突き放す愛馬の姿が映った。

「ギアが入ったのが分かったので『これなら大丈夫そう』と思いました」

　結果、ゴール板を通過する前に「勝利を確信」。その後、最優秀2歳牡馬らを向こうに回し、代打の鞍上を背にしたタイトルホルダーは真っ先にゴールへ飛び込んだ。

「良い形でトライアルを勝てました。幸いレース後の状態も良いので、予定通り皐月賞へ向かいます」

　皐月賞の権利どころかこの勝利で日本ダービーもほぼ出走確定だ。「心肺機能が良くて息切れするのを見た事がない」と栗田が絶賛するタイトルホルダーが、果たしてクラシック本番でどんなレースを見せてくれるのか。期待の膨らむ今回の結果だった。

タイトルホルダー　©Satoshi Hiramatsu