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【弥生賞】タイトルホルダーが連敗中のダノンザキッドに勝利するまで 「正直、ぶつけたくはなかったですが…」
posted2021/03/10 17:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Photostud
1978年3月16日生まれだからもう少しで43回目の誕生日を迎える栗田徹。彼が美浦で厩舎を開業したのは2011年。調教師になって今年が11年目という事だ。
そんな彼がタイトルホルダーと出合ったのは18年のセレクトセール。当時の第一印象を次のように述懐する。
「母のメーヴェは私が栗田博憲厩舎で調教助手をしていた時代にみていた馬で、スラッとしたタイプの牝馬でした。また、姉(メロディーレーン)が小さいのも分かっていたので、この馬自身も小さく映りました。ただ、悪い印象はなく、むしろ凄く綺麗で良い馬だと感じたのを覚えています」
更に、母を見ていた事を知った山田弘オーナーが「せっかくの縁だから是非」と購買し、栗田の下へ預けてくれる運びとなったと続けた。
新馬戦では危な気なく逃げ切り
第一印象で小さく映った馬体は年を重ねるごとに気にならない大きさになっていった。
「2歳の早い時期に入厩したのですが、その時にはすでに良いフレームの体つきになっていました」
走らせてみるとフットワーク自体も良かった。しかし、まだ芯が入り切っていなかったため、ゲート試験だけ受からせた後一旦放牧に出した。そして初秋を迎えた頃、再入厩させる。
「その後は実に順調でした」
こうして10月4日、中山競馬場、芝1800メートルの新馬戦でデビューした。
「気性的に前向き過ぎる感じがあったので、短いところを使うと、先々折り合いに苦労すると思いました。それである程度の距離があるところをと考えて1800メートル戦でおろす事にしました」
すると戸崎圭太を背に好スタートからハナを奪い、最後まで危な気なく逃げ切り。デビュー戦を白星で飾った。
「ゲートの中は大人しいし、スタートセンスも良いので力まずに出てくれます。決して無駄に速いわけではないので、まずは良い形で勝ってくれました」