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ブレイキンが五輪競技に採用「ダンスはスポーツですか?」国内プロリーグの神田勘太朗代表に聞いてみた
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byD.LEAGUE 20-21
posted2021/02/06 11:01
1月10日開幕した今シーズンのD.LEAGUE。9チームが参加し、レギュラーシーズン4戦とトーナメント形式のチャンピオンシップが開催される
「オリンピックの歴史を調べると、昔はアートとスポーツの祭典であったことが分かります。両者を分けたのは評価の仕方。勝ち負けをはっきりつけるのがスポーツで、アートは本能的な主観で評価していくもの。ダンスはスポーツとアートが融合、内包されたものだと考えています」
D.LEAGUEの発足にはその定義を築いていくための場という趣旨があると言う。
「例えば、フィギュアスケートもアートとスポーツが含まれますよね。だから成績とは別に、『あの人のスケートが好き』と選手のファンになることもある。ダンスも同様で、プロとしてはファンの存在も大事になる。採点も会場にいる審査員に加えて、オーディエンスの票も入る仕組みになっています」
一方、ダンスにはストリートで育まれた「カルチャー」としての面もある。
「軸がいくつかあって、スポーツとして見る人、アートとして見る人、カルチャーとして見る人もいる。その人の価値観で多面的に見ることもできます。見方はそれぞれあっていいと思っていますし、見たことがない人はどんな見方ができるか、まずはその目で見て感じてほしいです」
その世界への入り口がいくつもある間口の広さが、ダンスのポテンシャルのように感じる。
ダンスはもはや身近な存在
ダンスはテレビをつければごく普通に目にすることを考えても身近な存在と言える。
「ダンスがセットになっている楽曲も多いと思いますし、EXILEさん、三代目 J SOUL BROTHERSさん、三浦大知さんといった人たちはもちろん、踊れないアーティストがいないというくらいですよね」
追い風もあった。2012年、中学校でダンスが必修となったことで、より慣れ親しまれる存在になったことだ。
加えて、SNSの1つ「TikTok」の誕生も大きいと言う。
「カラオケによって、歌うことが恥ずかしくなくなったように、踊ることが表現として当たり前になってきました。だから日本だけじゃなく、世界的にダンス人口は増えています。アジア圏で考えても中国、インドはすごく増加しています」
ダンスを取り巻く環境が変わる今、日本の競技レベルはどれほどなのか。
「ブレイキンに関しては世界でもトップレベルです。16年、ISSEI(堀壱成)が世界最高峰と言われる『Red Bull BC One World Final』で日本人初の優勝。昨年は同じ大会をShigekix(半井重幸)が制すなど日本勢の活躍が目立っています」