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175cm131kg“いま最も勢いに乗る力士”翔猿 大学相撲部の同級生「相撲は大真面目、プライベートでは…」
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph byKYODO
posted2020/11/08 11:03
西前頭4枚目まで番付を上げた翔猿
印象的だったのは、先場所千秋楽での正代戦。正代は、立ち合いで手をついた瞬間に「(翔猿の)立ち合い変化があるかもしれない」と考えてしまったと話していたが、実際は、見ている側が気持ちいいほどまっすぐに、相手の胸へ頭から当たっていったのだ。あの清々しくまっすぐな立ち合いに胸打たれた相撲ファンは、決して少なくなかっただろう。技術力の高さにばかり目が行きがちだが、翔猿の基本を極めた力にも、ぜひ注目していただきたい。
翔猿の魅力(3)「何かしてくれそうな」明るいキャラクター
普段の翔猿はというと、先場所の取組後インタビューでもわかる通り、とても明るい性格である。人と話すのが好きで、冗談を言うこともしばしば。12日目の取組終了後のインタビューで、優勝への意気込みを聞かれた際は「あと3勝くらいしたら考えます!」(あと3日しかない)。これには、テレビの前で笑ったファンも多かったに違いない。
日本大学相撲部で翔猿と同級生だった網谷勇志氏は、当時の翔猿をこう振り返る。
「相撲に対しては本当に真面目で、真摯に向き合っているんですが、プライベートではよく一緒に遊んで、ふざけたり騒いだりしていました。オン・オフの切り替えがしっかりしているんです」
また、場所中のインタビューでも「楽しんで相撲が取れた」「楽しかった」と明るく話す翔猿の姿が印象的だったと、網谷氏は言う。
「昔から大舞台で強い印象があって、何かしてくれそうだなと思わせてくれるんです。彼の相撲を見ているこちらも、ワクワクして楽しいですよね。自分でも“楽しかった”と話すように、新入幕の土俵を心から楽しんでいたんだろうなと思います」
明るく、そして前向きな彼の性格が、先場所の躍進を後押ししたともいえるかもしれない。
土俵を翔び回れ、翔猿!
先場所は、最後まで優勝争いに絡んで土俵を沸かせ、11勝4敗の好成績。敢闘賞も受賞した。次は西前頭4枚目。横綱・大関といった上位陣とも当たる位置で場所を迎える。先場所の勢いのまま、上位にも果敢にぶつかっていって、星を伸ばすことができるか。思い切りの良さを前面に出して、土俵を翔び回れ、翔猿!