サムライブルーの原材料BACK NUMBER
Jリーグ最年少34歳で就任した監督は、なぜJ最年長41歳デビューの男を“スカウト”したのか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/08 11:01
今回が初めての対談だったというY.S.C.C.横浜のシュタルフ悠紀リヒャルト監督(左)とFWの安彦考真
仕事をやめてJリーガーになると決めたときからずっと崖っぷち
シュタルフ 周りをたきつけるくらいの(ピッチ内の)存在感もあるときはある(笑)。ここは周りの選手の受け取り方もありますからね。ただ、この人はとにかく一生懸命。自分の力を出そうとせずにチャンスを棒に振ってしまったなという試合は、アビさんは一度もない。
安彦 そこは最低限、やらないといけないわけだから。
シュタルフ 試合に出たらベストを尽くそうというのは伝わってくる。だけど残念なのはシュートを打てないとか、得点に絡めていないとか、現実の数字から見ると結果を出せてはいない。
――今季の契約を結ぶ際に「最後のシーズンにしたい」と監督に伝えたそうですね。
安彦 まあどこを引き際にするかというのはずっと考えていましたからね。シュタルフにもそう言いました。
シュタルフ そこはもうアビさんが考えて出した結論なんで。
安彦 スッキリしましたね。仕事をやめてJリーガーになると決めたときからずっと崖っぷちだったわけです。明日なんてないって思ってやれるかどうか。来年のきょうは、もうトレーニングできない。
カレンダーに1日ずつ「×印」がついていくなかで、そういう思いで毎日やっていったら違う景色を見ることができるんじゃないかなって。最後の1年、徹底的に追い込んでやってきているつもりです。
(後編は下の「関連記事」からもご覧になれます)