熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
本田圭佑、移籍4カ月で1試合のみ。
コロナ拡大&給料遅配という逆境。
posted2020/05/29 18:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
REUTERS/AFLO
今年2月、本田圭佑は地元サポーターからの熱烈なラブコールに心を動かされ、「東京五輪にオーバーエージ枠で出場すること」を目標に掲げてリオの古豪ボタフォゴへ入団した。
地元メディアとファンから一挙手一投足に熱い視線を注がれ、3月15日、リオ州選手権のバングー戦でデビューして1得点。幸先の良いスタートを切った。
ところが、その直後、新型コロナウイルスの感染拡大のためすべての試合が延期された。チーム練習も中止され、リオ南部の自宅で個人トレーナーを相手に体調を整える日々が続く。
シーズン再開に向け、本田は状況が許す限りのことをしている。しかしながら今後、ひょっとしたらボタフォゴ入りを選んだことを悔やむことになるかもしれない。
そう懸念せざるをえない理由が、少なくとも2つある。
各首長が厳しい対策をしていたが。
1つは、ブラジルで新型コロナウイルス感染が予想以上に拡大し、今や感染者数で世界2位、死亡者数で世界6位の「コロナ大国」となっており、シーズン再開が世界で最も遅れる国の1つとなりかねないことだ。
本田がブラジルへやってきた当時、ブラジルのコロナ禍は日本よりはるかに軽微だった。のみならず、3月中旬以降、リオなどの大都市では東京よりはるかに厳しい対策がとられてきた。
日本のメディアは、ジャイール・ボルソナロ大統領の「コロナはただの風邪」といった一部の発言や経済優先の姿勢ばかりを取り上げる。しかし、実際には各地の首長が大統領の意向とは無関係に厳しい対策を講じている。
すべての学校が閉鎖され、食糧品と薬品を販売する店と近距離の交通機関を除き、ほぼすべての経済活動が停止された。
このような強力な措置をとることで、理屈上は感染の拡大が食い止められるはずだった。しかし、実際にはそうならなかった。