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世界最大のプロレス興行は何をする?
コロナ危機を逆手に取った演出へ。
posted2020/03/23 11:50
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
4月5日にフロリダ・タンパで予定されていたプロレス世界最大の祭典であるWWE「レッスルマニア36」(タンパベイ・バッカニアーズの本拠地レイモンド・ジェイムズ・スタジアム=6万5890人収容)はその姿を大きく変えることになった。
理由はもちろん新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的広がりだ。WHOのパンデミック宣言で大会の中止あるいは延期は必至だろうと予想されていた。
NBAは試合の中止をいち早く決め、MLBも開幕を最低8週間ということで遅らせた。人気の学生スポーツNCAAの競技もストップした。
プロレス団体では、AEWがスケジュールを組み直せるところは7月などにずらした。
WWEは予定されていた「マンデーナイトロー」、「スマックダウン」、NXTの興行をすぐキャンセルして、試合をトレーニング施設であるWWEパフォーマンスセンターに移してテレビマッチに切り替えていた。
経済効果は約175億円とも……。
巨額なマネーを生むレッスルマニアはホストシティであるタンパ市にとっても経済的に魅力的だった。昨年、ニュージャージーで行われたレッスルマニア35の経済効果は1億6500万ドル(約175億円)とも言われている。コロナウィルス危機の中、双方は開催に向けて方法を模索していた。開催を秋に移すという選択肢も検討されたという。
だが、新型コロナウィルスの収束は7月とも8月とも不安視される中、見えない敵と戦うために新しい日にちをカレンダーを組み込むことには慎重にならざるを得なかった。
トランプ大統領は「国家非常事態宣言」を発令して、欧州からのフライト、入国を禁止あるいは制限し、多くのスポーツイベントの「8週間停止」を命じていた。カナダとの国境も閉ざした。
アメリカ疾病予防管理センターは50人以上の集会の中止を勧告し、さらにトランプ大統領は「10人以上は集まらないように」とスピーチした。