酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
過去5年ドラ1の成績はどうなった?
打者・投手育成が上手な球団は……。
posted2019/10/27 19:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
2019年のドラフト会議では大船渡の佐々木朗希(ロッテが交渉権獲得)、星稜の奥川恭伸(ヤクルトが交渉権獲得)と2人のドラフト1位高校生に注目が集まった。
ファンにしてみれば、佐々木の剛速球や奥川の堂々たるマウンドさばきを明日にでも見たいところだが、球団にとってはこれからが本番だ。ドラ1という「金の卵」をうまくふ化させて一人前に育てるのは並大抵のことではない。
では実際、過去5年の各球団のドラ1選手はここまで、どれほどの成績を残したのか? 今回は2019年時点での、彼らの一軍通算成績を見てみよう。
投手が台頭する西武、ホークスは?
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<西武>
2014年 高橋光成(投)前橋育英高
61試 24勝24敗0S 0H 345回 率4.25
2015年 多和田真三郎(投)富士大学
72試 29勝21敗0S 0H 434.1回 率4.17
2016年 今井達也(投)作新学院高
38試 12勝14敗0S 0H 214回 率4.50
2017年 齊藤大将(投)明治大学
25試 1勝3敗0S 2H 27.1回 率6.91
2018年 松本航(投)日本体育大学
16試 7勝4敗0S 0H 85.1回 率4.54
※2019年 宮川哲(投)東芝
前橋育英の高橋、作新学院の今井と甲子園の優勝投手を2人指名しているが、あとの3年は大学の実力派を指名した。
菊池雄星がMLBに挑戦し、投手陣に弱体化の懸念がある中、今季は高橋が10勝、今井が7勝を挙げている。多和田は昨年の最多勝、さらに昨年ドラ1の松本も7勝。エースといえる投手こそ出ていないが、ドラ1投手が台頭していると言えるだろう。その流れで宮川は即戦力として起用されそうだ。
<ソフトバンク>
2014年 松本裕樹(投)盛岡大学附属高
29試 4勝7敗0S 0H 121.2回 率4.29
2015年 高橋純平(投)県立岐阜商業高
46試 3勝2敗0S 17H 54回 率3.17
2016年 田中正義(投)創価大学
11試 0勝1敗0S 0H 14.1回 率8.16
2017年 吉住晴斗(投)鶴岡東高
一軍出場なし
2018年 甲斐野央(投)東洋大学
65試 2勝5敗8S 26H 58.2回 率4.14
※2019年 佐藤直樹(外)JR西日本
ソフトバンクは選手層が厚いために、ドラ1と言えども出世が約束されているわけではない。
育成上がりの千賀滉大、甲斐拓也らが主力になる一方で、2016年5球団競合で獲得した田中正義は故障もあって伸び悩んでいる。今年は高橋純平が救援で活躍。また昨年のドラ1甲斐野もセットアッパーとして仕事をしたが、ドラ1が即、活躍するのはむしろ例外的だ。
今年のドラ1、右の外野手佐藤には即戦力の期待がかかるが、どうなるか。
<楽天>
2014年 安楽智大(投)済美高
37試 5勝14敗0S 0H 181.2回 率4.01
2015年 オコエ瑠偉(外)関東第一高
188試 470打 103安 9本 38点 16盗 率.219
2016年 藤平尚真(投)横浜高
25試 7勝12敗0S 0H 133.1回 率4.12
2017年 近藤弘樹(投)岡山商科大学
11試 0勝4敗0S 0H 38.1回 率7.28
2018年 辰己涼介(外)立命館大学
124試 314打 72安 4本 25点 13盗 率.229
※2019年 小深田大翔(内)大阪ガス
楽天も済美の安楽、関東一高のオコエ、横浜の藤平と甲子園で活躍した選手を獲得したが、まだ一本立ちしていない。今季は大学を経て入団した辰己が124試合に出場したものの、ドラ1で主力として活躍する選手は2013年の松井裕樹以来出ていない。