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松島幸太朗はトライ王でも控え目。
南アの厳重警戒を再び破るために。
posted2019/10/15 17:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Naoya Sanuki
この男がトライしなければ、日本の勝利は見えてこない。
9月20日のロシア戦でハットトリックを達成し、チームに勢いを生み出した。続くアイルランド戦ではノートライに終わるものの、ボールキャリーの距離はチーム3位を記録した。背番号14を着けたウイングの推進力は、グループ最大の敵を下すことにつながった。
サモアとの第3戦では、80+4分にインゴールへ飛び込んだ。ボーナスポイントの獲得につながる貴重なトライだった。
10月13日にスコットランドと対戦した日本で、松島幸太朗は厳重な警戒に遭った。包囲網は確実に狭まっていたはずだが、17分に今大会自身5本目のトライを奪う。
流大の配球からラファエレティモシー、福岡堅樹とボールをつないだ左サイドからの崩しに、右ウイングの松島が関わっていく。タッチライン際を突き包む福岡を内側からサポートし、フリーで抜け出したのだった。
「スコットランド戦ではインサイドサポートが大事で、チャンスがあるというのは(アタックコーチの)ブラウニーからも1週間を通して言われていた。それを実際に実行できました」
見逃せない松島のラインブレイク。
開始6分に先制トライを許していた日本は、田村優のゴールも決まって7対7の同点に追いつく。
「まずは同点にしようということもありましたし、得点したい気持ちが強かったので、そこで自分たちの形でしっかり取れて良かったと思います」と松島は話したが、準備していたものをスコアへ結びつけた手応えは、チームに落ち着きを呼び込んだ。スコットランドにチャンスを与えず、日本は攻守両面で優位に立っていくのだ。
25分には6万7000人強の観衆が沸き立つ。フォワードとバックスが一体となったアタックで、松島のラインブレイクは見逃せない。6度目のフェーズとなった力強い突破が相手ディフェンスにダメージを与え、さらに攻撃を継続した日本は12フェーズ目でトライを記録したのだった。