月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
ラグビーW杯で沸き立つスポーツ紙。
奇跡報じるデイリーの一面には……。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph bySports Graphic Number
posted2019/09/30 17:00
アイルランド戦翌日はラグビー1色だったスポーツ各紙。その中で阪神・西の姿は際立っていた。
CS効果で盛り上がる「ご当地」。
そういえばこの数日前のサンケイスポーツ大阪版コラム「虎のソナタ」(9月26日)が印象的だった。最後の最後まで手に汗を握ったパ・リーグ優勝決定の夜のことを書いていた。
《24日の夜。日本中が「西武がロッテにリードしている」「ソフトバンクが楽天に逆転された」と大騒ぎしているときに、仙台のラジオ中継だけは「ロッテがリードされている」「楽天が逆転した」を連呼。聞いてて、思わずクスリと笑ってしまった。東北では、西武のリーグ優勝より、楽天のCS進出が最大の関心事になっていたのだから。それもまた、よし。》
球団のフランチャイズが全国に分散された結果の良いエピソードだと思った。しかし何があってもご当地のチームが主役というのは阪神が先駆者である。このサンスポ大阪版のコラムでも、
《クライマックスシリーズ(CS)という摩訶不思議なルールのおかげで、66勝68敗6分、借金抱えて4位に甘んじている阪神に、いまだに日本一になる可能性だけは残されている。ホント、不思議な話。》とし、甲子園での残りの阪神戦チケットが売り切れ状態であることを伝えていた。
「摩訶不思議な」CSのシステムについては様々な意見があると思うが「球界から消化試合がほぼ消えた、このシステムの“功績”は評価しなくちゃいけない。」(同コラム)という指摘はその通りであると思う。全国各地で最後までファンが楽しんでいる。
脱力感あふれる百点のダジャレ。
そういう視線で見てみると、今月のスポーツ紙で読みごたえがあったのはやはり阪神ネタだった。とにかくスポーツ紙の喜怒哀楽がすごくて目が離せなかった。ちょっと並べてみよう。(※「サンスポ大阪版」は電子版で購読)
「鳥谷退団 激白!!さらばタイガース」(デイリースポーツ9月1日)
「鳥 退団決意 さらば」(サンスポ大阪版9月1日)
9月の始まりと同時に鳥谷ショックが阪神ファンを襲う。さらに、
「ソラーテ帰った そら~ないで」(サンスポ大阪版9月7日)
ああ……「モチベーションが上がらない」という理由で球場から帰ってしまったソラーテ。「そら~ないで」という脱力感あふれる百点のダジャレ。