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日本がアイルランドに付け入る隙は?
攻守ともに完璧、超が3つ並ぶ難敵。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2019/09/28 08:00

日本がアイルランドに付け入る隙は?攻守ともに完璧、超が3つ並ぶ難敵。<Number Web> photograph by Getty Images

今大会の堂々たる優勝候補であるアイルランド。グループ最大の難敵に日本はどう立ち向かうのだろうか。

甘いキック、自陣でのラインアウトはダメ。

 ただし、タッチに蹴り出していたとしても、アイルランドのラインアウトになるわけで、そこからの脱出プランが上手くいくかどうかは疑わしい。

 アイルランドは、相手からどんどん選択肢を奪っていく。

 教訓1
 自陣からの脱出を試みるキックが甘ければ、アイルランドはそれを見逃すことはない。

 ふたつ目のトライは、ゴール前でのラインアウトで、3つ目はゴール前スクラム。

 ラインアウトからのモール、スクラムから仕掛けられたサイドアタック(わずか3フェイズでトライ)を止める術をスコットランドは持たなかった。

 教訓2
 自陣ゴール前でのラインアウト、スクラムは絶対に避けなければならない。

 緑の絨毯を止めるのは困難だ。防ぎようがない。

30本の脚が立ち続けるディフェンス。

 スコットランドはやすやすとアイルランドにトライを献上していったが、攻めても決定機を演出することが出来なかった。

 とにかく、アイルランドのディフェンスが乱れることなく80分間機能したからだ。ラグビー界には、こんな言葉がある。

 30 feet on the ground.

 グラウンド上の30本の脚。

 ひとりの選手がタックルで倒れれば、2本の脚がマイナスとなり、脚は28本となる。しかし、すぐに起き上がれば30本に戻る。

 4年前、エディー・ジャパンが徹底していたディフェンスでのルール、意識だ。

 スコットランドがフェイズアタックを重ねる最中、私はアイルランドのディフェンスばかり見ていた。

 ほとんどの時間、30本の脚がグラウンドに立っていた。これは、本当に強い。

 規律が保たれ、ディフェンスの意識が徹底されていた。

【次ページ】 勝つのはむずかしいが、ゼロではない。

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