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久保建英はマジョルカでどう輝く?
右サイドは激戦、適性はトップ下か。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2019/09/07 11:40
第3節バレンシア戦で公式戦デビューを飾った久保建英。マジョルカの1年間で、どれほどのインパクトを残してくれるだろうか。
バレンシア戦で出た右MFは激戦区。
1トップには昨季半ばに加入したクロアチア人FWブディミールが起用されているが、プリメラで1トップを張るには少々荷が重い印象がある。
怪我で出遅れたアブドン・プラッツ、コロンビア代表FWクチョ・エルナンデスが復帰すれば、出番を失うことになりそうだ。
基本システムは4-1-4-1だが、守備ブロックの作り方には毎試合ディテールに変化が見られる。開幕戦はババがアンカー、サルバとフェバスがインテリオール(中盤センター)に並ぶ4-1-4-1。第2節は4-1-4-1とフェバスを1列前に上げる4-4-1-1を使い分け、第3節はスタートから4-4-1-1の並びで守っていた。
バレンシア戦の終盤に出場した久保は4-4-1-1の右MFに入ったが、このポジションは激戦区だ。ファーストチョイスのダニ・ロドリゲス、怪我から復帰間際のアリダイに加え、今夏新たにアルゼンチン人のチャバリーア、マケドニア人のトライコフスキ、フランス人のサリブルと、久保以外に3人のサイドアタッカーが加入している。
守備のタスクを忠実にこなせるか。
その中で定位置を獲得するためには、第一に指揮官が求める守備面でのタスクを忠実にこなさなければならない。線の細さが懸念されがちだが、重要なのはどこにポジショニングを取り、どのタイミングでどうやってアプローチをかけるかを理解することだ。
1対1の対応を強いられることも多い最終ラインの選手とは違い、サイドMFの主な役割はブロックを形成した上でボールホルダーにプレッシャーをかけ、パスコースを限定しながら追い込んでいくことである。
周囲とのバランスを取りながらアプローチをかけていく連動性を築くことができれば、ポジショニングセンスに優れる久保が守備面で穴となることはそうないだろう。