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ホンダ13年ぶりのF1勝利に見えた、
フェルスタッペンとセナの共通点。
posted2019/07/20 09:00
text by
今宮純Jun Imamiya
photograph by
Mamoru Atsuta
2015年のF1復帰以来、屈辱にまみれてきたホンダ。
だが今季第9戦、ついに歓喜の瞬間が訪れた。
8戦全勝のメルセデスを倒して表彰台の頂点へ。
栄光も苦闘も知る司令塔、ホンダ・田辺豊治の熱き想いとは。
Number982号(2019年7月11日発売)の特集を全文掲載します!
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ホンダF1に勝利をもたらした10人目のドライバー、M・フェルスタッペンは表彰台でスーツの左胸にある「HONDA」マークを指さした。
メルセデス、フェラーリと2強チームの相手を次々にコース上で抜き去る、グランプリらしい闘いだった。
表彰セレモニーにはドライバー3人と優勝コンストラクター代表1名が出る。そこにレッドブル関係者ではなく、ホンダの田辺豊治テクニカル・ディレクターが現れた。異例なことだ。表彰台からの眺めは?
「いい景色でした。真下にレッドブルと我々のメンバーみんなが喜ぶ姿が見えて、感動しました」
ベルガーが耳元で囁いた祝福。
さらにサプライズが起きた。2位へのプレゼンター役、G・ベルガーが田辺TDのもとに歩み寄る。'90年代にマクラーレン・ホンダで戦った名ドライバー。そのときの担当エンジニアが田辺TDである。
「ハグしながら耳元で囁くように言ってくれました。『コングラチュレーション』、それと『アイ・オナー・ユー』です」
'06年以来13年ぶりに勝ったホンダと、勝利を勝ちとったお前を誇りに思うとかつての戦友に称えられ、彼の目から“汗”が流れた。フェルスタッペンとのシャンパン・ファイトがそれから始まった――。
今季第9戦オーストリアは、レッドブル・チームのホームGP。ホンダ陣営誰もが、緊張感を持って臨んでいた。前戦フランスGPから投入したパワーユニット(PU)「スペック3」の2戦目。現場スタッフと日本側エンジニアたちは万全の準備を整えた。