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<「2019世界柔道」直前インタビュー vol.1>
兄妹で目指す金メダル。

posted2019/06/27 10:45

 
<「2019世界柔道」直前インタビュー vol.1>兄妹で目指す金メダル。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

左から、男子66kg級・阿部一二三(日本体育大学4年)、女子52kg級・阿部詩(日本体育大学1年)

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

8月25日に開幕する「PARK24 GROUP presents 2019世界柔道選手権東京大会」(以下、2019世界柔道)に挑む日本代表全23選手。それぞれの胸の内に迫る全7回連載の1回目。

 ともに厳しい勝負の世界に身を置き、ときに互いの存在を自らの力とし、兄と妹は世界一の地位へたどり着いた。そして彼らは、これからも互いに高めあい、頂点に立ち続けようとしている。

「天才」「逸材」……華麗な言葉とともに評されることは珍しくない。

 それも無理はない。男子66kg級の阿部一二三(以下、一二三)は、輝かしい結果を積み重ねてきた。中学時代から全国大会を制するなど注目を集めると、高校2年生で出場したグランドスラム東京で、史上最年少優勝を飾る。

 2017年は世界柔道優勝をはじめ、出場した国内外の大会すべてを制し、2018年には世界柔道連覇を果たした。成績もさることながら、背負い投げをはじめ、きれいな技で一本を獲る柔道が高い評価を得てきた。

 ただ、本人は「天才とはぜんぜん思わない」と語る。

「言われることに関しては、別に何とも思わないですが、思ったこと、まったくないです。強くなりたいと努力してきたし、努力しないと強くなれないと思っていますから」

「阿部一二三は天才を超える」

 今でこそ世界に名をとどろかせる一二三は、はじめから強かったわけではない。柔道を始めたのは6歳だが、小学生のときは全国大会に出場した経験はない。花開いたのは中学生になってからだ。2、3年生のとき全国中学校柔道大会で優勝したのである。

「小学生の頃から、勝ちたい、強くなりたい一心で練習していたからこそだと思います」

 そんな足取りがあるからこそ、「努力してきたから強くなれた」と考えている。努力を大切に知る姿勢は、自分らしさを表現すると? と尋ねたときの言葉にも表れている。

「阿部一二三は天才を超える」

 一二三が意味を説明する。

「僕は、『努力は天才を超える』という言葉が好きです。だから、阿部一二三は天才を超える、です」

 自分を奮い立たせる存在もいる。

「すごい刺激をもらっていて、いるから負けられないという気持ちがある。僕自身も成長させてもらっている柔道家です」

 一二三がそう語るのは、52kg級で活躍する妹の阿部詩(以下、詩)である。

【次ページ】 「お兄ちゃんが前にいるので頑張れる」

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