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スペインGPもこれで見納めか……。
努力の天才・シューマッハーの記憶。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2019/05/19 17:30
'94年スペインGP表彰台。左からシューマッハー、優勝のデイモン・ヒル、3位のマーク・ブランデル。
天才と、それを支えるマシンの共同作業。
そして同時に、だれにも真似できないドライビングがどうして可能になっているのかをも納得したという。
「シューマッハーは天才と言われています。それは間違いありません。でも、それは、あの独特のドライビングを可能にするクルマを手にしているからなんです。
それには、周りの人を動かさないといけない。シューマッハーはF1マシンを運転する天才というだけでなく、努力する天才でもありました。ブレーキの踏み方、ステアリングの切り方、アクセルを踏むタイミング――すべて自分の走りを可能にできるクルマをチームのスタッフとともに作り上げるという努力を、だれよりもやっていたんじゃないかと思います」(中野)
今年のスペインGPを制したのはルイス・ハミルトンだった。これでスペインGP通算4勝とし、通算でも76勝と皇帝シューマッハーにまた一歩近づいた。その多くの勝利は最強のマシンを擁するメルセデスとともに挙げたものだが、そのマシンをチームとともに作り上げたのもまた、ハミルトンだということを私たちは忘れてはならない。