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好調・伊東純也と不遇・浅野拓磨。
何が海外移籍の成否を分けたのか。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2019/04/29 09:00
2019年1月の移籍市場でヘンクの一員となった伊東純也。同じ俊足の浅野拓磨と比べると対照的なキャリアだ。
優勝すれば来季CL出場がかなう。
伊東は主に、俊足を期待されて右MFで起用されている。味方やファンも伊東の特徴をしっかり掴んでおり、裏への長いボールに伊東が相手を振り切って追いついたりすると、待ってましたとばかりにスタンドが湧く。
ゴールへの仕掛けも積極的で、取材した先のスタンダール・リエージュ戦でも再三シュートチャンスを迎えていた。この日はあいにく伊東の得点はなく「チームは勝てたけど、自分が全然良くなかったです」とゴール前でのプレーが精度を欠いたことを悔やんだ。
枠を惜しくも逸れたシュートや、ゴール前で相手DFを抜き切れず阻まれたものもあった。それでも、存在感は十分だった。もしこのプレーオフで優勝すれば、来季はCLのグループリーグに直接出場できる。
「もちろんCLは行きたいですけど、目の前の試合で勝つことを考えていきたいです」
伊東は至極真っ当なコメントを残した。
当初は厳しいことを言われたが。
一方で入団会見の時、クレメント監督が「伊東はテストの結果、グループの平均以下だが、彼の基本的な資質を知っている。ここの基準は高い」と厳しいコメントをしたと報道で目にしたのが印象に残っている。
順応、適応への期待とも言えるが、入団会見でそこまで厳しいことを言うのは珍しいものだ。だが今では、サポーターが伊東のチャントを歌うほどの人気選手なのである。
ベルギーでの伊東の活躍を見ていると、ドイツでは出場機会を失った俊足アタッカー、浅野拓磨のことを思わざるを得ない。
'93年生まれの伊東と'94年生まれの浅野はほぼ同世代。ともに俊足タイプで浅野はフォワードでプレーすることもあるが、両者とも中盤のサイド、ウイングでプレーする選手だ。また日本代表ではポジションを争うライバルでもある。