高校や大学の逸材を探し出し、ドラフト会議であっと言わせる。プロ野球におけるスカウトの醍醐味のひとつだろう。だが、真の正念場はここからだ。北海道日本ハムファイターズのスカウト・ディレクター大渕隆はこう説明する。

「交渉って簡単に決まっているように見えて、いろんなことがある。他球団の選手と比べてなぜこの契約金なのか、とか。僕らの仕事の中で交渉はすごく比重が大きいんです」

　スカウト界において、大渕は2つの点で有名人だ。一つは大リーグを目指していた大谷翔平に26ページもの資料を示して入団に導いたこと。もう一つは元高校教員という異色の経歴を持っていることだ。