酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
新卒年収は2倍、プロ野球は10倍?
高額年俸と社会的地位の関係性。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byYuki Suenaga
posted2019/01/27 09:00
ロッテの井口資仁監督も2018年の社会貢献活動が認められて賞を受賞するなどしている。
ファンが選手を特別視する根拠でもある。
とまれ、プロ野球選手が、サラリーマンと桁違いの年俸を得ることは、メリットの方が多い。野球選手のステイタスが上がり、選手の意識も変わり、社会的な責任感も出てくるというものだ。
昨年、東京スポーツがあるプロ野球OB選手の言葉を紹介していた。
「年俸の公開で一番傷つくのは多分、選手自身ではなく家族。中でも特に子供だと思う。自分も大幅減俸の際、息子が周囲からバカにされたらしく『学校に行きたくない』と泣かれたことがあった。当時は年俸を公表するのが当たり前だと考えていたので、息子には『我慢しろ』と諭したけど、冷静に考えればおかしい。奥さんも年俸減が報じられると、近所の人から変な目で見られたみたいだし。メディアやファンの思いもあるだろうけれど、個人的にはやめてもらいたい。いや、大半の選手がそう思っているはず」
もちろん、プライバシーは守られるべきだが、年俸は記録、実績などとともに選手の「評価」そのものだ。そしてファンが選手を特別視する重要な「根拠」にもなっている。
「年俸」は、野球選手の「高いプロ意識」の源泉になるのではないかと思う。