松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER

修造、驚愕! パラカヌー瀬立モニカは
肩甲骨と頭の位置でバランスをとる。

posted2019/01/15 07:00

 
修造、驚愕! パラカヌー瀬立モニカは肩甲骨と頭の位置でバランスをとる。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

このキラキラと輝く水面は、中学時代から通う江東区の練習場。インタビュー時に、カヌーを漕いでみせてくれた瀬立モニカ。

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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Yuki Suenaga

 見上げると、雲ひとつない、祝祭のような青空が広がっていた。旧中川を望む土手の上から、瀬立(せりゅう)モニカさんの乗った車椅子が軽快にスロープを降りてくる。

 そのあまりの勢いに、思わず「スピード違反ですよ」と声をかけたのは、川沿いの乗船場で待つ松岡修造さん。もう真冬だが、風もなくあたたかい。うららかな陽射しを受けて、2人の表情も晴れやかだ。

 松岡修造さんが、パラアスリートと真剣に向き合い、その人生を深く掘り下げていく連続対談企画「松岡修造のパラリンピック一直線!」。

 第2回のゲストは、パラカヌー界の若き第一人者。瀬立さんはリオデジャネイロパラリンピックのカヌー競技に日本代表として出場し、200mスプリントで8位入賞を果たした実力の持ち主だ。彼女があの舞台に立つまでに、どんな物語があったのか。いったいどのような思いで競技に打ち込んでいるのだろうか。

 コーチの西明美さん、カヌー競技で五輪に3度出場した経験を持つアドバイザーの北本忍さん、そして母親のキヌ子さんが見守る中、和やかな雰囲気で対談がスタートした!

「お母さん、吉川晃司のファンなのって」

松岡「モニカさん。名前を言うと、みんなが驚くんじゃないですか」

瀬立「確かに驚かれます。名前から白人のハーフをイメージするみたいですけど、実際はこんな感じなので。いつも日に焼けているからむしろ黒い(笑)。松岡さん世代の方からは『お母さん、吉川晃司のファンなの』ってよく聞かれます」

松岡「そう思いますよ。むしろ、それしか結びつかなかった。違うんですか」

瀬立「ぜんぜん関係ないんです。お母さんがクリスチャンで、クリスチャンネームがモニカ。それがそのまま娘の名前になりました」

松岡「それでモニカなのか……。さきほどちらっと練習を見させてもらいましたけど、そこにある舟がモニカさんの乗っているカヌーなんですね」

瀬立「そうです。競技艇です。いわゆるレジャーカヌーはもっと全幅があって太いんですけど、私たちが使うパラリンピック用のカヌーは先端がすごくシャープ。200mの直線コースでスプリントタイムを競う競技なので、スピードに特化した造りになっています」

瀬立モニカ(せりゅう・もにか)

1997年11月17日東京都生まれ。中学時代にカヌー部に所属。高校1年、体育授業中の事故で車椅子生活となる。2014年にパラカヌーを始め、翌2015年世界選手権に出場。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックに出場し、女子カヤックシングル(運動機能障害)で8位入賞。2017年にはワールドカップやアジアパラカヌー選手権で優勝。2020年東京パラリンピックでは、金メダル獲得を目指している。現在は江東区カヌー協会に所属し、筑波大学体育専門学群で勉学に励んでいる。

【次ページ】 「1秒と水の上に浮いていられなかった」

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