スプリントは香港勢の独壇場。

　日本を代表して挑むとすれば彼をおいて他にはいないのは誰もが認めるところ。しかし、このカテゴリーは過去の例をみても香港馬の独擅場。日本のスプリンターで通用したのはロードカナロアただ1頭である。

　とくに今年は昨年の当レース1、2着のミスタースタニングとディービーピン、前哨戦で彼等をまとめて負かしているホットキングプローン、さらに短距離ばかりデビュー以来17戦で1度も4着以下になっていないビートザクロックなど駒が揃っていた。

　加えてレース直前にアクシデントが日本の名スプリンターに襲いかかった。ファインニードルがゲートに入った後、ピンウースパークがゲート入りを拒否。結局、除外になるのだが、その間、ずっとゲートの中で待たされた日本からの挑戦者は「気が抜けてしまった」（高橋調教師）ようで、走りに集中できず。結果、8着に敗れ、1着はミスタースタニング、2着がディービーピン、3着ビートザクロック。以下、6着までを香港勢が独占した。

ヴィブロスが見せた意地。

　第7レースで行われたのが芝1600mの香港マイル（GI）。ここにはヴィブロス（牝5歳、栗東・友道康夫厩舎）、ペルシアンナイト（牡4歳、栗東・池江泰寿厩舎）、モズアスコット（牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎）の3頭が出走した。

　このレースには香港のエース、ビューティージェネレーションが名を連ねていた。昨年の覇者で今年もチャンピオンズマイルなど重賞4連勝中。レーティングも圧倒的に高いこの馬が結果的に力の違いを見せつける。手綱をとったZ・パートン騎手が後ろを振り返りつつほぼ持ったままで抜け出し、優勝したのだ。

　同馬の圧勝劇の前にペルシアンナイトとモズアスコットはともに行き脚がつかず前者が5着、後者も7着に敗れた。

　しかし、ヴィブロスは最後の直線でよく追い上げ、激しい2着争いを制し連対してみせた。完敗の中にも日本馬の意地をみた思いがした。

【次ページ】　ディアドラはよく追い込んだが。