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ヤマハとの名勝負、周到な準備。
沢木サントリーが3連覇に王手。
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byYuuri Tanimoto
posted2018/12/12 07:00
会見に臨んだ沢木敬介監督。サントリーを常勝軍団たらしめている指導者だ。
「50cm下がる」意識の徹底。
この日のサントリーのペナルティ数は「6」。一方の相手は「13」だった。ここで獲得したペナルティから、4本のPG成功で12得点。トライ数では「3対4」で下回ったが、総得点で勝った。
周到な準備とエナジーが噛み合い、チームの転機となる勝利を呼び込んだ。
迎えたヤマハ発動機戦。歴史的な熱戦を制することができた要因は、一体どこにあったのか。3トライを挙げたWTB尾崎晟也は実感をこう語った。
「シンプルに1週間の準備が良いので、信じてプレーすることができます」
ヤマハ発動機は看板の強力スクラムに加え、CTBヴィリアミ・タヒトゥアらのランナーが強力。そのため練習からディフェンスに注力した。試合担当レフリーの傾向を頭に入れながら、反則を意識して「50cm下がる」(WTB尾崎)などの意識も徹底。
延長サドンデスという極限状態で、身体に染み込ませた意識がディフェンスラインを統率した。
「勝手なディフェンスをせず」
「勝手なディフェンスをせず、我慢強くディフェンスできたことは良かったです。それを一番準備してきたので」(サントリー・流大キャプテン)
サントリーは後半40分にラックで反則を犯した。その結果ヤマハ発動機の五郎丸歩に同点PGを決められ、延長戦に突入している。しかしそれは実に相手の34次攻撃でのこと。さらに後半の失点は、このときの3点のみだった。
ヤマハ発動機は自慢のスクラムでは優勢を保った。
サントリーの元指揮官でもある清宮克幸監督は「サントリーのディフェンス、勇気、ディシプリン(規律)は素晴らしかった。お互いの持ち味が出た良い試合でした」と歴史的大熱戦を振り返った。