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中継ぎの盟友・須田幸太が戦力外。
DeNA田中健二朗は無念を背負う。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byKyodo News

posted2018/11/14 07:00

中継ぎの盟友・須田幸太が戦力外。DeNA田中健二朗は無念を背負う。<Number Web> photograph by Kyodo News

9月16日の阪神戦では藤浪晋太郎に満塁弾を浴びた。2008年入団の投手陣最古参の復活が待たれる。

藤浪に打たれた満塁弾。

 以前にくらべると今季は配球においてフォークのパーセンテージがわずかながら増えている。

「初めのころはフォークを投げると逃げる形になっていたんですけど、ただ投げていくうちに徐々に使えるボールになっていきました」

 新たな発見はあったものの結局、最後まで自分を取り戻すことはできなかった。特に9月20日の阪神戦では、炎上した今永昇太のあとを受け3回表にマウンドに上がると、押し出し四球を2つ与えてしまう。そしてあろうことかピッチャーの藤浪晋太郎に本塁打を浴びてしまい、わずか3分の2回で自責点は5。これが今シーズン最後の登板となってしまった。

 厳しい現実だが、一方でファームでの成績を見ると23試合に登板し防御率は0.74と、すべてが低調だったわけではなかった。しかし一軍で投げると、どうしてもボールは意図せず上ずった。若いときから木塚敦志コーチに言われてきた「苦しいときほど下半身を使え!」という教訓が実践できない。

「見栄え良く抑えてやろうと」

 田中は、自分の内側を見つめるように言葉を続ける。

「正直、気持ちの問題が大きかったと思いますね。一軍に来ていざマウンドに上がると、いい格好しようじゃないけど、変に見栄え良く抑えてやろうという気持ちがどこかにあったんじゃないかなって。あと変にフワフワしていたというか、地に足が付かず上体で投げに行っていた部分もあった。それに気づいても、どうフォームを作り上げるか躓いたところはありましたね」

 ピッチャーは言うまでもなく繊細だ。体と心のメカニズムが複雑に入り組んでいる。どんな厳しい場面であっても二つ返事でマウンドに上がり修羅場をくぐり抜けてきた田中であっても、これほどまで修正が利かなくなるとは……。やはり2年連続60登板以上というのは、肉体的にも精神的にも負担が大きかったのだろうか。

「単に投げ続けていけば力は落ちていく一方ですし、ケアも含めシーズンを通して力を出すというところに重きをおくべきでした。オフにはしっかりと体を元に戻す。10何年も活躍しつづける選手はそこがしっかりとしている」

【次ページ】 須田について問うと……。

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