Number ExBACK NUMBER
本屋大賞ノンフィクション賞受賞!
角幡唯介の次の冒険の地はどこだ?
posted2018/11/08 16:30
text by
藤森三奈(Number編集部)Mina Fujimori
photograph by
Takuya Sugiyama
今年、ノンフィクション界で話題をさらった角幡唯介著の『極夜行』が、このたび、「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2018年ノンフィクション本大賞」に輝いた。全国の書店員約100名の投票と選考委員により、今年一番読みたいノンフィクション本として選ばれたのだ。
実は、『スポーツ・グラフィック ナンバー』には古くから、植村直己や、白石康次郎ら冒険家を応援してきた歴史がある。『ナンバー』及び文藝春秋は、角幡唯介という平成を代表する冒険家にも様々な形で寄り添ってきたが、彼が特異なのは、冒険にかかる費用として自分の収入(印税、講演会)以外の金銭的支援を一切拒んでいることかもしれない(企業から物品提供は受けることこそあるが)。
それには確固たる理由がある。
自由に旅をし、自由に物を書きたいからだ。
だから、当然ながら周囲の人間は彼の旅のプランに一切口出しができない。彼が書く冒険ノンフィクションの内容も、「完全に」お任せしなくてはならないのである。
ホントにホントの経費はいくら?
準備を含め4年がかりで完成させた『極夜行』は、冬の日の昇らない北極を一匹の犬と旅した内容だ。
途中、経費はどれくらいかかるのかと聞いた時、「いや~それほどかかりませんよ。氷の上は宿泊費タダですから。飛行機代と村の滞在費くらいで、1回あたり100~150万円くらいですかね」とあっけらかんと答えていた。
しかし、本当のところ、この4年でどれくらいかかったのか改めて聞いてみた。
「2015年は7カ月滞在しましたから、その年は250~300万はかかっていますね。トータルで……800万円くらいかな~」