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荒木雅博引退に思う。中日黄金期を
支えたアライバの「最高傑作」とは。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2018/10/12 11:00
ドラゴンズ黄金時代の二遊間として堅守を誇った「アライバ」コンビだが、打線の1、2番としても絶妙のコンビネーションを見せていた。
罰金と紙一重だが落合監督は。
荒木が二塁打で出るまで、中日は19人連続で凡退していた。しかも直前に追いつかれたのは押し出し四球。得意だったナゴヤドームで、何とも重い試合展開だった。止めたのは荒木。続いたのが井端。まさしくアライバの「最高傑作」と呼ぶにふさわしいコンビネーションだった。
しかし、実はこのプレーはペナルティ、罰金と紙一重でもあった。
「あのころはコリジョンがまだなかったでしょ? だから本塁に限らずヘッドスライディングはやるなって監督に言われていたんですよ」
捕手はブロックできた。荒木に長期離脱されれば、それこそ連覇が難しくなる。落合監督に禁じられていたヘッドスライディング。「この1点」を取りに行くために、リスクを冒した。「試合後、怒られたってことはなかったです」と振り返る荒木。当時の報道を調べると、落合監督は勝利の後に一言しか発しなかったようだ。
「やっと選手が動き始めた」
ヤクルトに必死にくらいついて迎えた9月。東日本大震災の影響で、開幕が2週間遅れたシーズンだったとはいえ、大詰めを迎えてなお3.5ゲーム差つけられていた。ペナントを左右する決戦での「最高傑作」。
中日は強かった。わずか7年前なのに、あのころの「熱」が懐かしい。