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井岡一翔は父と決別しても強い。
大みそかの世界戦は実現するか?
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byGetty Images
posted2018/09/10 11:30
井岡一翔の眼光は以前にも増して鋭かった。4階級制覇の現実味が増してきた。
海外で試合をして中継するという手も。
井岡が一法会長との確執でジムを離れ、引退というところまで発展したことは、もはやボクシング界ではだれもが知るところだろう。そうなると今後、JBCライセンスの交付を受けるなら、井岡ジムから他ジムへ移籍という形になる。
今回のアメリカでの試合には一法会長がかけつけ、勝利に大喜びしたようだが、移籍に関する見通しはいまのところ立っていない。
そこでスポーツ各紙に報じられたのが、フィリピンやシンガポールなど、日本のライセンスが必要ない海外のリングを井岡に用意し、現地で行う世界戦の模様を中継するというアイデアだ。もちろん国内開催が基本路線で、このような非常手段はできれば取りなくないはずだ。
アメリカで戦う、という選択肢もある。
TBSが井岡の起用にこだわるのは、井岡が視聴率を稼げる選手であるからに他ならない。TBS関係者は「年末にボクシングの放送をするなら、井岡の出場が絶対条件」と言い切るほどである。
井岡の年末登場を待ち望むファンがいて、本人もそれを望み、イベント開催に支障のない環境が整えられるなら大いにけっこうな話だ。
一方で、今回の井岡の試合ぶりを考えると、もし無理をして日本で試合をするくらいなら、このままアメリカのリングに上がり続けるのも悪くないように思えた。
井岡が今回出場した「SUPERFLY」というシリーズ化したイベントは軽量級の有力選手を集めた大会で、アメリカで昨年スタートした。軽いクラスが重いクラスに比べて人気がないのは欧米では常識だが、この大会はまずまずの成功を収めていて、アメリカのファンからも上々の評判を得ている。