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大谷翔平の本塁打量産を支える
“最強アオダモバット”の秘密。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byGetty Images

posted2018/08/10 11:30

大谷翔平の本塁打量産を支える“最強アオダモバット”の秘密。<Number Web> photograph by Getty Images

メジャーでも屈指の飛距離を誇る大谷翔平の打球。その大きく美しいホームランは、見る者すべてに爽快感を与えてくれる。

アオダモはタイミングが合えば一番飛ぶ!

 筒香もプロ入り直後はアオダモを使っていたが、最終的にはそのタイミングのずれを嫌ってメープル素材のものに変えている。ただ、アオダモのバットのしなり感は独特で、タイミングさえ合えば大きな打球で一番飛ぶ。

 これが筒香の実感だった。

 アオダモのバットの最大の特徴は、筒香が語るように素材の柔らかさからくる打った時のくっつくような感触とヘッドが走るしなり感だと言われる。

 フリー打撃で大谷のスイングがゆっくり見えるのは、バットに乗せる感覚が強く、ボールとバットがくっついている時間がメープルなどの固い素材に比べてほんのわずかに長いからだ。

 そうしたしなりを使ってボールを運べるので、打球は遠くへ飛びなかなか落ちてこない。

 バットとボールの接する時間が長くしっかりとヘッドに乗せて打ち返せるから、こすったような弱い当たりではなく、逆方向への打球も力強く伸びていく。

 もちろんゆっくり見えるが実測のヘッドスピードは速く、インパクトでのパワーが並外れていることもある。ただアオダモ素材のバットを巧みに操り、そこから生み出される独特な打球は、大谷の打撃、大谷のホームランの大きな要素でもあるのだ。

最初は大谷もバットをよく折っていた。

 大谷にバットを供給しているアシックスジャパン株式会社の広報チームの話では、メジャー移籍の際にバットの長さは日本時代の34インチから33.5インチと約1.3センチ短くして最大径は3ミリから4ミリ太くなった。その分先端をくりぬいた先ぐり加工を施して扱いやすさを出しているという。

 総重量は非公開ということだったが、ヘッドが利きやすいように先端部分が太めでグリップが細い、典型的な長距離打者仕様のスペックである。

 ただ、大谷もメジャーの動くボールに慣れていなかった春先は、このバットをなかなか完璧には扱いきれずに、打席で派手に折って破壊するシーンが何度も見られた。

 つい最近でも8月5日(日本時間6日)のインディアンス戦では第3打席の2死三塁で、低めのカーブにバットを折りながらも左前タイムリーという場面もあった。

【次ページ】 バットの原木になるまで60年以上!

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