プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷翔平の本塁打量産を支える
“最強アオダモバット”の秘密。
posted2018/08/10 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Getty Images
“事件”は5月1日の練習中に起こった。
シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手が翌日のコロラド・ロッキーズ戦に備えて打撃練習を行なっていたとき、バットがグリップのちょっと上からヘッドに向けて斜めに大きくひび割れて折れてしまった。
実はこのバットは数日前にロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手からもらった「大谷モデル」だったのである。ダルビッシュはこのバットで4月27日のミルウォーキー・ブルワーズ戦では今季初安打となる二塁打も放っていた。
「バットを頂いたので早速使ったら2塁打を打てました。(中略)二塁回ってこけたので次はスパイクください」
こうツイッターで報告していた矢先に、その大事なバットを打撃練習で破壊してしまったのである。
「早速折ってしまいました。。なんでバッティング練習で使ってしまったんや。。」
後悔先に立たず。ダルビッシュはすぐにツイッターでこう悲嘆にくれるコメントをアップした。
だが、ある意味、この結果は目に見えていたとも言えるものだった。
大谷のバットは、今は日本のプロ野球でも使用者が激減しているアオダモ素材だからである。
松井秀喜も福留孝介もアオダモを断念。
「タモは折れる」
こう語っていたのはメジャー移籍直後の元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんだった。
松井さんは日本時代はアオダモのバットを愛用していた。しかしメジャー移籍に際してキャンプで折れやすいことから素材の変更を決断。最終的にはメープル素材のバットを使用するようになった。
松井さんだけではなく中日からシカゴ・カブスに移籍した現阪神の福留孝介外野手も日本時代はアオダモの愛用者。しかし、メジャーに移籍すると、とにかく折れまくってメープルに変えている。