【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
池田純が語るボクシング連盟騒動。
「全てはトップの問題なんです」
posted2018/08/06 07:00
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Kyodo News
日本ボクシング連盟の問題が話題になっています。でも日大アメフト部や、レスリング協会もそうでしたが、こういったことは本当にどこにでもある話のように私には思われて仕方ありません。
別のスポーツの協会でも同様の問題があると耳にしたことがありますし、グローブを1社としか契約してなかった、みたいな話は結構いろんな人が知っている話だと、かつてより私ですら耳にしていました。
でも、批判する人、否定的発言をする人、ストレートな本質的発言をする人、偉い人に忖度しない進言をする人、偉い人より発言が民意を得てしまう人は、いわゆる面倒くさい人と位置づけられて、中からはすぐに排除されてしまう。
メディアもそうで、批判的なことを書くとすぐ出入り禁止になってしまう。だから忖度が起きたり、何の解決にもならないぬるい議論になったりするわけです。どこも“内向き”の組織で、外部の人を入れない。大胆なビジョンを持っている人間に思い切って任せることもしない。なんなら選挙すら行われていない。密室で行われている事なんて外部の人からしたら全くわからない。
ガバナンスが通用しないクローズドな社会。
みんな立場にしがみついてしまっているわけです。これは、安易に甘い蜜を吸えるからというだけで片づけられることではありません。スポーツには大勢のファンがいて、そしてそのファンが応援する選手たちがいる。
それら全てを自分の下に置けるわけです。それで自らを天上人だと勘違いしてしまう人がたくさん出てくる。だから「俺が育てた」となってしまう。
全てはトップの問題なんです。リーダーの問題。日本や地域の発展に貢献したり、世の中を変えたりといったことを考えずにその競技を牛耳っていれば、あとは自分が理解してコントロールできる範囲で物事を動かして、ガバナンスが通用しないクローズドな社会で権力と立場を固めていくわけです。
普通の企業なら当たり前に考えていることにも、目が向いてない。経営は集合知なので、いろんな人を巻き込もうと思ったらグローブなんか1社と契約してる場合じゃないんです。